あとがきが長くなったので別文書にしました。
難産でした……。
我ながら、説得力の薄いストーリーだな、と自覚しております。
しかし、唯笑シナリオでの「いつまでも3人一緒だよ」という言葉に感じた違和感。そんなことがあり得るのかな?とずっと考えていまして、それで、もし本当にあるとしたら、それを支えるのはほんとに単純な「そばにいたい」という想いなんではないかと考えました。つらいけど、かなわない想いだけど、応えてやれない気持ちだけど、だけどそれでも、一緒にいたい。そんなの無理だよ、と云ってしまえばそれまでですが、どんな痛みも乗り越えられる想いってのも、あるんじゃないかと。
正直、ほんとにあるのかどうかはわかりません。この物語は、とりあえず「ある」と信じて歩き始めたところなので、これからどうなるかはわからない。その辺が説得力の薄い原因かと思いますが、彼らなら諦めない答えを見つけてくれるだろう、という私の願いを込めました。
さて、もともとこの作品は400ヒット記念として、アルカスさんのリクエストに応えたものです(遅っ)。
アルカスさんのお題は、『ヴェニスの商人』でした。『ヴェニスの商人』というと、有名な肉1ポンドのお話を皆さん思い出すことでしょうが、実際にはそれ以外にもいくつか興味深いエピソードが盛り込まれています(……ということを、アルカスさんから教わりました(^^ゞ)。
その中で、アルカスさんがテーマに選ばれたのが、「愛を試す女・ポーシャ」です。
ポーシャは主人公の親友の婚約者です。この親友というのが、シャイロックに借金をした張本人ですね。自分の借金の保証人になったばっかりに、主人公の命が危ない、という話を彼がポーシャにしまして、それでポーシャは自分も力になろうと裁判官に扮して登場し、例の「肉1ポンドを取るのはいいが、血は1滴も流してはならない」というレトリックで主人公を救うわけです。ちなみにポーシャはなぜかこれを婚約者にも内緒で変装してやったので、彼は目の前の裁判官がポーシャだとは気づきません。
ここでひとつ事件が起こります。実はポーシャは事前に婚約者に指輪を渡していて、それは愛の証だから絶対に手放さないように、と約束させていました。ところがポーシャ扮する裁判官は、裁判の謝礼としてその指輪をよこすよう、婚約者に迫ります。悩んだ末、彼は親友を救ってくれたお礼をせずにはおれない、ということで、指輪を渡してしまうのです。
この話は結局、喜劇でして、あとでポーシャから指輪がないのを問いつめられて尻に敷かれる……という結末になるわけですが、アルカスさんがこの話をモチーフとして選ばれたのは、「友情を取るか、愛を取るか」というテーマがあったからです。
これを智也とかおると唯笑で……と云われたときには、正直、頭を抱えました(^^ゞ。『彼は彼女を救えるか』では不十分だった、唯笑とのけじめ、ということを掘り下げるにはちょうどいいテーマだったので、創作意欲はわいたのですが、いかんせん難しい。単純にどちらかを選ぶ、という結末はまず不可能ですからね。
ということで、あれこれ考えた結果、「どっちも諦めない」という展開になりました(^^ゞ。「そんな都合のいい話、認めるかーっ」という声もきっとあるでしょうが、なぜそういう展開にしたかは上に書いたとおりです。説得力がないという批判には、ごめんなさいというしかありませぬm(__)m。
そもそもアルカスさんは認めてくれるのだろうか(^^ゞ。不安だ……。
最後にもうひとつ。掲示板にも書きましたが、裏のテーマは「唯笑のリベンジ」でした(^^ゞ。でも、唯笑のリベンジもこれから始まるのかな。
とにかく、あんまり潔く身を引きすぎるぞ>唯笑ということを云いたかったのです。
ちなみにラストで、かおると唯笑が「唯笑」「かおる」と呼び合うようになるシーンを書こうかなと思ったんですけど、あんまりくさそうなのでやめました(^^ゞ。この課題は、やはり槻弓さんにお預けしておきます(^^ゞ。
タイトルは、『Kanon』のオープニングからいただいています。正しくは「Last regrets」ですが、「Last Regret」のほうが座りがいいのでこうしました。Keyのゲームの歌は、どれもイメージ膨らませてくれていいですね。次作はきっと「Farewell Song」か「風の辿り着く場所」でしょう(^^ゞ。
ご感想など、いただければ幸いですm(__)m。
2001.6.14