4
十二月二十四日。桜峰のような小さな街でも、空気はクリスマス一色に染まっていた。
鷹乃にとっては、健とつきあい始めて最初のクリスマスになる。少女趣味的なことに縁のない鷹乃であったが、恋人と過ごすクリスマスに、興味のないはずがなかった。
けれど、鷹乃は今夜もひとり、夜の街を当てもなく歩いていた。
一人で考えたい、そう云って健の部屋を出てから、もう一週間以上経つ。その間、健には一切連絡をしていなかったし、健のほうから電話をしてくることもなかった。学校で会っても、言葉は交わさないようにしていた。
寒さにかじかんだ手をこすり合わせながら、鷹乃は白い息を吐いた。
今頃、健はどうしているだろうか。ふとそう考えて、鷹乃はほたるの手紙を思い出した。
健とほたる、ふたりの想い出のクリスマス。
私と健のクリスマスは……こうして、苦い気持ちのままで……。
「あれ、寿々奈さん?」
「……え?」
不意に声をかけられて顔を上げたとき、最初に鷹乃の目に入ったのは、ファミレスのネオンだった。「ルサック」そう読める。
そして、そのネオンの下に、料理人の白衣を着た信が、手を振りながら立っていた。
「稲穂君。……そうか、ここでバイトしてるんだったわね」
「そ。こんな日にもね。まったく、来る客、来る客、カップルばっかりだよ」
情けなさそうに眉を寄せつつ、信は肩をすくめた。だがそこで、小さく笑う鷹乃もまた一人であることに、信は気づいた。
「……って、寿々奈さんは、こんな日に一人で散歩かい?」
「……」
「イナケンとは、まだ?」
余計なお世話よ、と突っぱねなかったのは、以前話をしたことで、鷹乃もほんの少し信を見直していたからかもしれない。
暗い表情でうつむく鷹乃に、信は強いて笑顔で話しかけた。
「じゃあさ、せっかくだからなんか食ってきなよ。俺はもうじき休憩終わりだから、残念ながらご一緒できないんだけど」
「あ、でも……」
「いいから、いいから。一名様、ごあんなーい」
おどけて見せつつ、信は鷹乃を店内に促した。
鷹乃は苦笑しつつ、そのあとに続いた。確かに寒空の下をうろついたところで、答えが出るわけでもない。おいしいものでも食べた方が、気も紛れるだろう。
何より、せっかくの信の気遣いを無にするほど、鷹乃は意固地でもなかった。
店内は非常に混み合っていたが、かろうじて一テーブルだけ開いていた。
「お、ラッキーだったね。じゃあ、あちらへ……」
そう云って信が鷹乃を席へ案内しようとしたとき、自動ドアが開いて、また新しい客が入ってきた。信は「いらっしゃいませ」と振り返りながら声を張り上げ――、絶句した。
「あ……」
「?」
不審に思い、鷹乃も振り返る。そこには栗色の髪をセミロングにした、穏やかな印象を与える美しい女性が立っていた。
「あ、稲穂君、お久しぶり」
「し、静流さん……。どうも……」
「せっかくのイブだっていうのに、小夜美にドタキャンされちゃってね。まあ、そもそもイブに小夜美と二人ってのが、すでに泣けちゃうんだけど」
屈託のない様子で、彼女――白河静流は笑った。いつもの信なら「じゃあ俺が朝までだってお供しますよ」と、軽口で答えるはずだったが、今はあまりの間の悪さに、さすがの信も曖昧に笑うのが精一杯だった。
「でも、せっかく出てきたから、なにかおいしいもの食べて帰ろうかと思って。……稲穂君? どうしたの?」
「あ、いいえ、その……」
「知り合いなの?」
「あ、うん、その……」
事情を知らない当人同士、鷹乃と静流が、それぞれ不審げに信を見やった。お互いを見て、同時に軽く頭を下げる。
静流は店内を見回した。
「……あ、でも、いっぱいみたいね」
「そ、そうなんですよ、申し訳ないんですが、ちょっと待っててもらえますか?」
傍目にも不自然なほどほっとしながら、信は答えた。だが。
「私は相席でも構わないわよ」
鷹乃の言葉に、頭を抱えることになった。
「そうね、稲穂君のお友達なら、私も構わないわ」
「あ……えっと……」
「どうしたの、さっきから」
ついに信は観念した。鷹乃と静流を交互に見やり、まず静流を見ながら、鷹乃を紹介した。
「静流さん、こちら……寿々奈鷹乃さん、です」
「え……」
静流が驚いて、鷹乃の顔をじっと見つめる。鷹乃は不審そうに眉をひそめた。
続いて、信は鷹乃に静流を紹介した。
「寿々奈さん、こちら、白河静流さん、だよ」
「……白河?」
鷹乃も息を飲んだ。戸惑ったような静流の視線から目をそらすように、信を見上げる。
「白河って……じゃあ……」
「そう……たるたるのお姉さんだ」
「……」
「……」
言葉もなく、二人の女性は互いを見つめ合った。
信はため息をついて、言葉を続けた。
「それで……ご相席、よろしいですか?」
その言葉に、静流はふっと微笑んだ。苦笑ではなく、どこか人を安心させるその笑みに、なぜか鷹乃は驚いた。
「わたしは、寿々奈さんさえよければ、そうしてほしいけど」
信が黙って鷹乃の顔を見る。鷹乃は驚きながらも、そう云われては、断るわけにもいかなかった。
「……いいわ」
「かしこまりました。では、こちらへ……」
ぎこちなく先頭に立って、信は二人を座席へ案内した。
*
席についても、オーダーしたものが運ばれてくるまで、鷹乃と静流の間に会話はなかった。
鷹乃は居心地悪げに、視線をさまよわせている。一方、静流は落ち着いた様子で、頬杖をついて窓の外を見ていた。
信はしばらく二人の様子を窺っていたが、店長にどやされて、やむを得ず奥に戻っていった。そんな信を見て、静流が小さく笑った。
「稲穂君って、あれですごく気を遣うタイプなのよね」
「……そうですね」
それが食事中に交わされた、唯一の会話だった。
食べ終わった皿が片づけられ、食後のドリンクが運ばれてくる。二人とも紅茶を頼んでいた。
静流がティーカップに口をつけながら、初めて鷹乃の目を見て微笑んだ。
「鷹乃ちゃんって、食べるの早いのね。驚いちゃった」
「え……」
「あ、ごめんなさい、失礼なこと云って」
「い、いいえ、その……」
「? ああ、ごめんね、いきなり『鷹乃ちゃん』だなんて。ほたるがいつもそう呼んでたから……」
「……」
紅茶に手を伸ばすことも忘れて、鷹乃は静流の柔らかい笑顔を見つめた。
静流は無言で、首を傾げてみせる。
鷹乃は少しうつむいて、小さく微笑んだ。
「私のこと、そんな風に呼んでくれるのは、白河さんぐらいでした」
「そうなの?」
「はい。……自分で云うのもなんですけど、私、取っつきにくいから」
「……」
「だけど、彼女だけは、いつも屈託なく笑ってくれたんです」
そう云って、鷹乃は唇を噛んだ。そして、面を上げてじっと静流の目を見たあと、テーブルに手をついて頭を下げた。
「ごめんなさい」
「……」
静流は困ったように微笑んだ。
「どうして……鷹乃ちゃんが謝るの? それも、わたしに向かって?」
「だって……私……」
「あなたのせいで、ほたるが不幸になったから?」
「……」
鷹乃は顔を上げて、やはり驚いた。どんな罵倒も覚悟していたけれど、静流は、微笑んだままだったのだ。
「それは自意識過剰よ、鷹乃ちゃん」
「……」
「これは、ほたると健くんの問題。たとえ健くんが選んだのがあなたでも、私がほたるの姉であっても、口を挟むことじゃないわ。そうでしょう?」
「それは……わかっているんですけど……でも……」
目をそらし、言いよどむ鷹乃。静流はもう一口紅茶を飲んで、喉を湿らせた。
「ほんと、ほたるの云ったとおりね」
「……え?」
「鷹乃ちゃんは自分に厳しくて、いつもびしっと背筋を伸ばして生きてる感じがする。それがすごくかっこいいんだって、ほたるが云ってたわ」
「……そんな……買いかぶりです……」
鷹乃は弱々しく首を振った。
そんな風に生きていたい、とは思っていた。自分にも他人にも恥じるところのない、凛とした生き方をしたいと。
だけど、実際は。自分でもわけのわからない気持ちに振り回されて、周りの人まで傷つけているだけだ。
鷹乃はそう思った。
静流は鷹乃の物思いをすべて見透かしたように、穏やかに微笑んでいた。その笑顔は鷹乃にとって居心地が悪くもあり、快くもあった。一人っ子の鷹乃にはわからなかったが、それが「姉」というものだったのかもしれない。
「なんとなく、鷹乃ちゃんの気持ちはわかるよ」
「……え……」
「誰かがほしがっているものを、その人を押しのけてまで奪おうとするのって……怖いよね」
「……」
「本当にほしかったはずなのに、手に入れた瞬間から、その気持ちが罪悪感に変わる……。そんな想いをするぐらいなら、最初から諦めてしまったほうがよかったんじゃないか。その気持ちは、わたしにもよくわかるの」
「静流さん……」
微笑んだままだったが、静流の表情や口調からは、深い悲嘆が感じ取られた。
この人は、何を諦めてきたのだろう。そしてそのことを、どう考えているのだろう。
鷹乃は一瞬、自分の悩みも忘れて、静流の言葉に聞き入っていた。
「だけどね、それでも諦められないものも、あると思うの。誰を傷つけても、どんなに無様だって思われても、絶対に捨てられないものが。それだけが、きっと真実だから。それさえ諦めてしまったら……きっと、その人の人生は、偽物だけになってしまうわ」
「……」
強い口調で云いきり、静流は息を継いだ。鷹乃は言葉もなく、その目をじっと見つめていた。
「……だから、ほたるは帰ってきたの」
「……あ……」
刹那、鷹乃の表情に怯えに似たものが走る。そのとき、初めて静流は厳しい気色を見せた。
「勘違いしないで。わたしは、事実を伝えているだけ」
「……」
「ほたるは、一所懸命、自分の真実と向き合おうとしてる。だから、あなたも真実でそれに答えてあげてほしい」
「静流さん……」
「もし、ほたるを哀れんだりしたら……わたし、あなたを一生、許さないから」
沈黙が降りる。どれだけの時間、二人はそうやって互いの目を見つめていたか。
やがて、鷹乃がこくんと頷くと、静流はいつも通り柔らかく微笑んだ。
その笑顔に、ほたるがうらやましい、と鷹乃は考えた。
5
ルサックの前で、鷹乃は静流と別れた。
心配して出てきた信に、鷹乃と静流は笑顔で手を振った。信はほっと安堵の息を漏らしたようだ。
鷹乃はその足で、朝凪荘へ向かった。
自分自身の真実と、向かい合うために。
時刻は九時を回っており、寒さは一段と厳しくなっていた。鷹乃はコートの前を固く合わせながら、足早に歩いた。
やがて、朝凪荘の門が見えてきた。思わず小走りになった鷹乃は、朝凪荘から飛び出してきた人影と、危うくぶつかりそうになった。
「……!」
「あ、ご、ごめんなさい」
そう云って振り向いた彼女の顔は、涙に濡れていた。鷹乃を見て、より蒼白になり、唇を噛みしめる。
鷹乃も驚いて、目を丸くした。
「白河さん……! どうして……?」
「……」
ほたるは答えず、一瞬だけ、睨むような視線を鷹乃に向けた。ほたるにそんな表情があることに、鷹乃はひるんだ。
「白河さん……」
やはり答えず、ほたるは背を向けて走り去った。追うこともできず、鷹乃はその場に立ち尽くした。
「……鷹乃?」
呼びかけられ、ゆっくり振り向くと、やはりそこには健が立っていた。悲痛な想いに顔を歪める健に、どうしても鷹乃は食ってかかってしまった。
「どういうこと? 白河さんに何をしたの!」
「……」
「健!」
「……もう、逢わない、そう云ったんだ」
「……なんですって?」
「もう逢いたくない。手紙も書かない。迷惑だ。そう云った」
淡々と、感情のこもらない声で健は続けた。
鷹乃は健の両肩を掴み、顔を覗き込んだ。健は面を背けて、鷹乃と目を合わさなかった。
「どうして……! どうして、そんなことを云ったの!? 白河さんの気持ちを、いったい……!」
鷹乃は最後まで云うことができなかった。
健に、強く抱きしめられたからだ。
「……健……! 放して……!」
健の腕を振りほどこうと、鷹乃は身をよじった。けれど、健はますます腕の力を強め、鷹乃を放そうとはしなかった。鷹乃は息苦しくさえあった。
「健……苦しい……」
「……鷹乃の気持ちは……どうなるの……」
「……え……?」
小さな小さな呟きに、鷹乃は驚いて顔を上げた。健の頬にも涙が流れていることに、鷹乃はようやく気づいた。
「そして……僕の気持ちは……」
「健……」
健は鷹乃の頬に、自分の頬を寄せた。涙の熱さが、伝わってくる。
「失いたくないのは……鷹乃だけだ……。誰を傷つけても……何をなくしてもいい……。鷹乃がそばにいないなら……何も……意味はない……」
「……け……ん……」
おずおずと手を伸ばして、鷹乃は健の背を抱いた。
息も止まるほど強く、ふたりは互いを抱きしめていた。
いつしか鷹乃も泣いていた。固く寄せた頬を、ふたりの涙がひとつになって、流れた。
「……あ……」
熱い涙が流れる頬に、冷たい感触を覚えて、鷹乃は目を開けた。
雪が降り始めていた。
闇の中から、ちらちらと白い輝きが降り注ぐ。鷹乃と健は、抱き合ったまま、その光景を見つめた。
「……綺麗……」
「……うん……」
互いの腕の中に見つけた、たったひとつの真実。ふたりはそれを抱いたまま、降り積もる雪に包まれていた。
6
「……うん、大丈夫だって。やだなあ、お姉ちゃん、まだ見送りに来れないこと気にしてるの? いいの、ほたるが突然戻ってきて、また突然帰るーって云いだしたんだから。……うん……うん、ありがと。パパやママにも、よろしく云ってね……。うん、それじゃあ……」
静流との通話を終え、ほたるは携帯電話を切った。待ち受け画面には、健と写した写真が使われている。ほたるは微笑んで、愛おしむようにその画面を撫でた。
海外に行けば、携帯は使えないから意味がない。それでもほたるは解約もせずに、その携帯を持っていた。今となっては、数少ない絆なのだから。
出発便のアナウンスが聞こえる。ほたるは椅子から立ち上がり、大きなボストンバッグを持った。
ほたるは、空港にいた。年が明けて、これからまたウィーンに戻るのだ。
正月休み期間中で、空港は人でごった返していた。
急遽、予定を変更したこともあり、家族は誰も見送りに来られなかった。ほたるが見送りはいい、と云ったせいもある。
それは、このことを予感していたからかもしれない。
「白河さん」
呼びかけられて、ほたるが振り向いた先には、黒髪を二つに分けたポニーテールにした、美しい少女が立っていた。
二人の少女は、しばらく何も云わず、微笑んだまま立っていた。
「鷹乃ちゃん、お見送り、来てくれたんだ。ありがとう」
「ううん。……健も、来るように云ったんだけど、あいつ、結構頑固だから……ごめんね」
「いいの。それが健ちゃんの優しさだって、ほたる、わかってるから」
「……」
また少し沈黙が降りる。しかし、二人ともなぜかそのことに、気まずさは感じなかった。
「ほたるね、やっぱり健ちゃんに逢えてよかったと思う」
屈託のない笑顔で、ほたるはそう云った。鷹乃は答える代わりに、軽く首を傾げた。
「健ちゃんとうまくいかなかったから、ほたるにはもうピアノしかないんだって、ウィーンに行くときは思ってた。でも、そんな風に自分を誤魔化すためにピアノを弾くことなんか、できないんだよ。ほたるは、大切なひとへの想いを込めて、ピアノを弾くの。どんなにつらくても、淋しくても、そのひとが好きだって気持ちは、捨てちゃいけないんだ」
「……うん……」
ほたるの目に涙はなく、微笑んだままだった。だから、鷹乃も笑顔で、頷き返した。
「そのことを、思い出させてくれた。だから、ほたる、健ちゃんに逢えてよかったよ」
「……うん」
「ほたる、頑張るよ。本当に大事なものは、ここにあるから……」
そっと胸に手を当てるほたる。
「自分の夢のために、頑張る。そして、いつかきっと、健ちゃんに後悔させてやるんだ」
いたずらっぽく、ほたるは笑った。鷹乃はわざと不機嫌そうな表情を作って見せた。
「そう簡単にはいかないと思うけど。私がついてるんだし」
「ふふ……じゃあ、五年後ぐらいが楽しみだね?」
「そうね。楽しみにしてるわ」
ひとしきり、少女たちは笑った。行き交う人々が振り返るほど、大きな声で、長い間。
やがて、ほたるがボストンバッグを取り上げた。
「じゃあ、ほたる、行くね」
「……うん、体に気をつけて」
「ありがとう。鷹乃ちゃんもね」
軽く頭を下げて、ほたるは背を向けて歩いていった。鷹乃はその場に立ったまま、ほたるを見送っていた。
振り返らず、まっすぐに歩いていくほたるの姿は、とても凛として、かっこよく思えた。
ほたるが云ってくれたように、自分もそんな風に歩いていかなくては。
ほたるが見つけた真実を、自分もまた、胸に抱いているのだから。
鷹乃は最後にもう一度微笑んで、振り返り、歩き出した。背筋を伸ばして、まっすぐに。
「さて……ちょっと、泳いでから帰ろうかな」
あとがき
鷹乃が書きたかったんです。以上。
……これだけではあんまりですね(^^ゞ。
えーと、テーマ的には静流シナリオの焼き直しだし、ラストは巴ノーマルエンドに似てるしで、独創性という面では弱いなあと自覚しております。
ただ、ゲーム中、鷹乃がほたるに対する屈託を持たない点が、やや気になったんですよね。女の子には優しくて、しかも潔癖性っぽい鷹乃が、恋人の前の彼女のことを意識せずにいられるだろうかと。ましてや、つきあいだしたときには転校しちゃってたとはいえ、元クラスメイトです。
まあ、ゲーム中はわかります。なんたって鷹乃は自分のことでいっぱいいっぱいですから(^^ゞ。健の気持ちさえほとんどお構いなし、ましてやほたるをやって感じです。
だけど、落ち着いてふっと考えちゃったとき、鷹乃なら自分を責めたりするんじゃないかなあと。母親の再婚について、かなり複雑な感情を持っていたようですしね。
もうひとつ気になったのは、ほたるのこと。全シナリオ中、鷹乃シナリオのほたるは、いちばん「弱い子」に思えます。つらいから、もう健のそばにはいられない、という選択をしたように思える。まあ、このシナリオは唯一、健が「ほたるに恋してない」と明言しちゃう、ほたるにつらい状況のせいもあるかもしれませんが。
ほたるの気持ちはとってもよくわかるんですが、それでも、「ほたる、それでいいのか?」という想いがありまして。初期の構想段階ではほたるが出てくるなんて夢にも思わなかったんですけど(^^ゞ、突然帰ってきてしまいました。
しかし、あれだけ「ほたるが可哀想(T_T)」と連呼しておきながら、ほたるが振り直される話を考えてしまう私って何者……? 鬼?
……え、えっと。
最後に。真冬を出したくなる衝動を抑えるのが大変でした(^^ゞ。でも、あんまりオリキャラ出して私の世界観を押しつけるのもよろしくないですし、真冬は鷹乃への影響力強すぎるので(^^ゞ、遠慮してもらいました。前作「Diamond」とタイトルが似てるのは、前作が「鷹とダイアモンド 〜プロローグ〜」的な位置づけだからです。鷹乃が信を嫌っているのも、真冬のことがあるから……という裏設定が(^^ゞ。
ああ、最近、どんどんあとがきが長くなっていくな(^^ゞ。
ご感想などいただければ、幸いですm(__)m。