ありえないオンライン11


さーあり得ないぞー(謎)


俺は窓から挿す光でふと目を覚ました。
今日はゲフェンへ“ぐれいとふる☆でっど”の
調査に行かなくては…。
がばっと元気に起き上がると、
隣にエローラが居た。

「えっ?」

なんと、エローラが俺と同じベッドで寝ているではないか。
しかも彼女は下着姿だった!
俺は突然の状況に狼狽した。

「う〜…ん」

時空が目をごしごし擦りながら部屋に入ってきた。
そして俺のベッドを見るなり驚きで目を見開く。

「わっ!何やっとんねんアンタ!」

「え、いや、あのこれは」

俺はみっともない状況であたふたとどもる。

「そんな不潔な人だったんですね!もう許せません!死ね」

時空は偶然手に持っていたトカレフを俺に向けて、
引き金を引いた。

バギューン

「あばびょう」

俺の心臓に鉛の弾丸が正確に突き刺さる。
俺は痛みすら味わうことなく、ベッドに鮮血を撒き散らしながら倒れた。

ああ、俺は今死ぬんだ…。
そう思って目を閉じる。
段々周りが冷たくなっていくのを感じた。
何時間そうしていただろう。
いや、ひょっとすると数秒なのかもしれない。

目を閉じているはずなのに、
段々遠くの方から一点の光が近づいてきた。

「誰だ、お前は…」

光の中心には一人の老アサシンがいた。
何かどっかで見たことのあるような男だ。
笠を深くかぶり、口元には立派な髭をたくわえている。

「残念ながら御主は死んでしまったようじゃ。
じゃが、一つだけ助かる方法があるぞよ」

俺は間髪入れず答えた。

「助けてくれ!どんな方法でもいい!」

「では望み通りにしよう…中国4千年光線!」

ビビビビ…。

男は奇怪なポーズを取ると、
目から白い光を放出した。
真っ直ぐに俺に直撃する。

「うわあああ…」

俺はまたもや暗い闇の中へ堕ちる感覚に囚われていった…。

「…ず……さん」

「ち…ず………さん」

ん…?
どこからともなく声が響き渡る。

「血水さん!」

ふっと目を開けると、そこには泣き出しそうな時空の顔があった。

「ああ!気が付いたんですね、よかった!
つい逆上して銃で撃ったりしちゃって、ほんとごめんなさい」

「いや、気にするな…よっこいせっと」

俺は伏せているベッドから立ち上がろうとした。
すると、背中に熱い衝撃が走る。

ボオオオオオオオ!!

「ぬわーーー!」

突然俺は巨人に放り上げられたかのような感覚に見舞われると、
道具屋の屋根を突き抜けて上空へ出ていた。
驚いて背中を見ると、ロケットベルトのように、
肩甲骨あたりから炎が噴出していた。

「こ、これは…!」

俺は咄嗟に辺りを見渡した。
プロンテラの上空だと言うのに、アルデバランあたりまで見える。
手を見ると、金属製のアームがガシャガシャ音を立てていた。
はるか下のほうで時空が何か叫んでいる。
俺はそちらに手を向け、叫んだ。

「ロケットパーンチ!」

シュドォォォン!!

俺の手が胴体から離れ、マッハで射出される。
かわす余裕もなく時空に命中すると、
激しい砂埃を上げながらその辺りの地面ごと微塵に消えた。

「す、素晴らしい力だ!」

俺は一旦地面へ降りた。

ガッシィィィン!

自分の身体を堪能していると、
とある二人組みがやってきた。
アサシンとプリースト…。
そう、やなとこじろーの二人だ。

何か叫んでいる。
俺は超聴覚モードを使って一字一句漏らさず聞き取った。

「これは一体…血水さん、あなたが!?」

俺はフフフと笑いながら腕組みをした。

「ワタシハ、ウマレカワッタニダ」

なんか声の調子が変だ。

「これ以上被害を広がせるわけにはいきません…!
こじろー、行きますよ!」

「…OK!」

二人は左右から俺に向かって走り出した。
どうやら新生したこの俺とやる気らしい。

「ブレッシング!速度上昇!キルエ・エレイソン!」

やなが続けざまに魔法を唱える。
こじろーの進行速度がグンと増した。

「血水さん…覚悟!ソニックブロウ!」

アサシン必殺のソニックブロウがキタ───(゜∀゜)────!!
俺は身構えた。一撃目さえかわせばあとは楽勝だ。

「ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!甘い!遅い!無駄!」

全て避けきった、次はこっちの番だ。
俺はこじろーの胸倉を掴み上げた。

「なっ…うぐっ!」

「こ、こじろー!」

俺は片手でそのまま掴み上げ、
ゆっくりと口を開いた。

「マウス・トゥ・マウス・ファイアー!!」

ボォォォー…。

身を業火に焼かれながらこじろーが叫んだ。

「ご、悟空ゥゥゥゥゥウウウ!!」

やなも叫ぶ。

「クリリーーーーーーン!!」

「この地球人のゴミどもが!フリーザ様の恐ろしさを教えてやる!」

なんだか変なノリになってきたが、
俺はこじろーの灰燼に絶望するやなへロケットダッシュした。
しかし、何か膨れ上がる力を感じて急ブレーキをかけた。

「…このプレッシャー…何だ!?」

「よくもオラのクリリン(こじろー)を…!うわぁぁ!!」

ドギャァァン!!

「なっ…こ、これは!」

なんとやなの髪の毛が金色になったじゃあないか。
さっきとは丸で別人のような力を感じる。

「ま、まさか…スーパーラグナロク人か!」

「マグヌスエクソールシスムス!!」

そのままプリーストの究極魔法、マグヌスエクソールシスムスを唱えて来た。
不死系ならばBOSSをも一発で葬り去る伝説の魔法…!!

…だが俺は不死系じゃないので別に効かなかった。

「死ね」

「キャー」

こじろーも俺のロケットパンチの前に粉砕なされた。
さあ、やっとこれでゲフェンへ行けるぞ。
ルン!ルン!ルン!

(中略)

ゲフェンへ辿り着くと、そこは色んな人たちが踊り狂うパーティ会場だった。
俺は時空の話とあんまり様子が違うので、少々驚いた。
すぐにゴーゴーを踊っていた一人の女性が俺の前に進み出た。
見るとスフィアじゃないか。

「あら血水さん、すっかり逞しくなったじゃないですか、
一緒に踊ります?」

俺はとりあえずスフィアと一緒に踊り出した。
なしゆもいる。
するとさっきまでユーロビート調だったミュージックが
突然ソーラン節に変わった。
それに習って俺達は腰も砕けよとばかりに踊り出した。

「そこまで!」

瞬間ミラーボールが破壊され、辺りは一瞬で暗くなり、
人々はざわざわと騒ぎ出した。
見ると、町の中央の大ステージの上にbriskが立っている。

「YOO MEN!日本の未来はWOW WOW WOW WOW」

頭がすっかりアフロヘアーになっていた。
似合わないサングラスもかけていた。
やがて流れているソーラン節に合わせて激しく踊り出す鰤。
とってもダサいぜ。

「ウッヒョオウ!あ、それそれー!」

俺はその場に深く腰を落とした。
そして大地の気をゆっくりと足から吸い上げる。
それを股間に集中させ…。

「今だ放て!中華キャノン!」

ズバアアアアァアアアアアアアア!!

俺の股間から白い波蝕が起こると共に、
乱舞狂乱するbriskへ向けてレーザーが放たれた。

「ツヴァイ!」

briskは消滅した。
俺は股間から煙を立ち上げらせながら、
自慢気に周囲を見渡した。

みんな驚愕と畏怖の眼差しで俺を見ている。

さて、そろそろこの力を活用して
リアル世界へ帰ろうかなと思った矢先。

「そこまで!」

突然雪之空が現れた。
黒いブーツを履き、アトムパンツ一丁。
頭からはすっぽりとマスクを被り、
あとは生まれたままの姿だ。

「…どうしたんだ雪之空」

「はっはっは、私は雪之空ではない!
ラグナロックの悪とチートを防ぐその名も、
必殺BOT仕置き人で御座るよってからに〜!
食らえ!BOT破壊光線!」

ズビーィィィー!

「何!」

奴の放つ光線が身体に命中すると、
どんどん力が失われていくのを感じた。
いかん!この光線は不正な力を霧散させるニダ!
くそ、一体どうすればいいんだ…!

その時、師である山田三太夫(誰)の言葉が脳裏に響く。

“考えるんじゃない、感じるのだ…”

ついでに先生の言葉も響く。

“諦めたら、そこで試合終了ですよ…”

そうか、わかったぜ!これが俺の真の拳だ!
俺は右手を翳し、全てのオーラ力を集中させた。

「俺の右手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!
必殺!シャァァァァ○ニングゥゥゥゥフィンガァァァァアア!!」

ガッシッィィィイイイイイイン!

俺はしっかりと雪之空の頭を掴んだ。

「な、なにぃ!」

「たぁぁぁああああ!!………たっ!!」

ズギャアアア!!

なんだかさっきからワンパターンな展開のような気がするが、
雪之空はそのまま文章にすると非常に非倫理的な状況で召された。

俺はふと空を見上げる。
すると、もう朝日の光が見え始めていた。

「父さん、母さん、オラはやったですとたい…」

十二話へ 続く 続かない

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