ありえないオンライン12


12話か…。 段々コメントも無くなってきました。
そろそろ矛盾点がボロボロ出てくる頃だと思われ…。


ゲフェンへとひたすら歩く時空と俺。
いつものクセで歩いて来てしまったが、
よく考えたらどこぞのアコライトにでも
ポータルを頼めば良かった。

「…誰もいないな」

とりあえずバッタ平原まで辿り着いたが、
それまでに出会うPCは人っ子一人居なかった。
死の危険性が付随する今、気持ちはわからなくないが、
ここまで極端だと何だか面白い。

「血水さんはどうしてこんな危険を冒すんですか?」

疑問に思った時空が顔も見ずに聞いてきた。

「そりゃ…リアルが心配だからさ」

「リアル、ですか」

最もな話だろう。
ずっとゲームと繋がりっ放しじゃ、
いずれ餓死してしまうだろうし、
家族だって心配…はしないか。
なんにしろ他人任せではいられない。

しかしこれだけ長くゲームにいるとなると、
ある程度リアルの状況も把握出来る。
きっと俺達は既に家族に発見され、
点滴か何かで栄養補給を受けているのだろう。
何故ゲームから外そうとしないのかと言うとそれはやはり…。

「無理にはずそうとすると死ぬんだろうな」

「…え?」

「このゲームからだよ」

丸で映画の世界だ。
だがここまで強大な科学力を重力社に
見せ付けられていては、信じられない話ではない。
だが、目的がわからない。
これだけの人間をゲームに繋ぎとめて、
一体重力社は何をしたいのだろうか?

今わかっているのは一つだけ。
『鍵』と称される剣を手に入れれば、
この世界から脱出出来る…という情報だけだ。
そしてその剣はなしゆが持っている可能性が高い…。
だが、その前に俺はゲフェンを潰滅させた
『ぐれいとふる☆でっど』と接触しなければならない。

その理由を知るためにだ。

ゲフェンまでは特に強敵はいない。
あえて言えばボスのボーカルが登場するが、
強さはロッカーに毛が生えた程度で、
全く俺達の敵ではない。

そんな調子で歩く俺達だが、
道中、予期しない人物に出会った。
青い髪のウィザード…、
前に一度出会った事がある、
そう、雪之空だ。

「おや、またお会いしましたね」

会釈しながら、馬鹿丁寧に声をかけてきた。
こっちもそれなりに頭を下げながら応対する。

「これは奇遇だな…一体何をしているんですか?」

「ちょっと周辺の調査をしてたんですよ、そっちは?」

「俺達はゲフェンに行くところです」

雪之空は別段驚いた様子も無く、
いつものように冷めた表情で相槌を打った。

「頑張ってください、それでは」

俺達が来た方向へ去っていく。
蒼の時空が不思議そうな声を上げた。

「へぇ、こんな時に外を歩いている人もいるんですねえ」

「あいつはなんだか掴めない人物だからな…」

何かあったと言えばその程度で、
俺達は他に大きなトラブルも無く
ゲフェンに辿り着いた。

全ての人々が殺されていると聞いて、
さぞや凄惨な光景を予想していたのだが、
それは見事に裏切られた。

「…誰もいないぞ」

ゲフェンは無人だった。
生きている人は居ないが、逆に死んでいる人間も居ない。
奇妙な事にNPCすら存在していなかった。

「おかしい…僕が来た時と違う…」

時空は半ば放心している。
本当に問題ばかり起こる世界だ。
俺はとりあえず、手近な建物に入ってみることにした。

「こっちだ、時空」

町の中心にある建物。
ゲフェンダンジョンと呼ばれるダンジョンの入り口だ。
そこに入ると、長い階段が続いている。

しかし、そこも街の様相と同じく、無人だった。

「む、これは…」

ふと壁を見ると、一筋の赤い線が走っている。
手でなぞって見ると、ベトリとした感触と共に指に赤い液体が付着した。

「血、ですね…」

「もっと奥まで行って見よう」

少し怯える時空を強引に引っ張るように階段を下りると、
その赤い模様はどんどん濃くなって行った。
トマトをぶつけたような模様、まだらになっている模様…、
丸で血が通っている壁を思いのまま引っかいたようだ。

「やはり、ぐれいとふる☆でっどが…?」

そう言って見るも、時空の返事は無かった。

「時空?」

時空はガタガタと肩を抱えて震えている。
そうか、時空はこの光景に加えていくつもの死体を
見せ付けられてきたのだ。
これ以上進ませるのは少し可哀想な気もする。

「よし、そろそろ上に戻ろ…」

「うわぁ!」

注:この先は10月以降に書いた物です。

背後から突拍子も無い声がした。
なんとそこでは、時空が一人のプリーストにしばかれてのだ!

「じ、時空ゥゥゥーーー!!」

「血水さーーーーーん!!」

プリーストは素早い動きで呪文を唱える。

「ホーリーライト!」

「な、なんだそのスキルは!俺は知らん!ぶはー!」

あっと言う間に俺もしばかれた。
プリーストは様々な前振りをすっ飛ばして物言わぬ屍となった
主人公を前に言い放つ。

「勝ったッ!血水編完ッ!」

プリーストは予め血水と時空の動きを知ってか知らぬか、
ゲフェンで待ち伏せをしていたのだ。
そういうことにしておこう。

と言う訳で第ニ部。

〜追憶の西瓜、その生涯〜

が始まります。

(;゜Д゜)いいのかこんなんで!

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