なんだかよくわからない

昔々、おじいさんとおねえさんがいました。
ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、
おねえさんは川へ宣託に行きました。

おじいさんは思いました。

「俺、山の芝なんか刈って何がしたいんだろう」

おねえさんが川で宣託を受けていると、
上流からドンブラコッコ、ドンブラコッコと、
大きな桃が流れて来ました。

おねえさんは桃を拾おうとしましたが手が届かず、
そのまま流れていってしまいました。

しかしそれでは話が続かないので
なんとかキャッチできたことにする。

おねえさんが家に桃を持ち帰りました。
イエーイ!
すると家の前に道が出来ていました。
ウエーイ!

桃をおじいさんに見せると、
おじいさんはピーチジュースを作ろうとか言い出しました。

桃をミキサーにかけると、
なんだか赤いミンチが出来上がりました。

おねえさんとおじいさんは、すごくキモいので、
それを外の庭に捨てました。

すると次の日、ゾンビとして蘇った桃太郎が、
玄関に仁王立ちしていました。

桃太郎は言いました。

「漏れ、鬼退治に逝くYO!」

おねえさんはゾンビな上に電波な事を言う桃太郎が
怖くてしょうがなかったので、
吉備団子を渡してとっとと鬼退治に向かってもらいました。

桃太郎はずんずんずんと、
鬼が島へ向けて進んで行きます。

しばらく歩くと、おじいさんがいました。

「俺の家家計厳しいんだよ、吉備団子返せよ」

桃太郎は言いました。

「ついてくるならあげましょう」

おじいさんは仕方がないので
桃太郎に付き合うことにしました。

やがて桃太郎がまたしばらく歩くと、
今度は鬼達が居ました。

「吉備団子くれYO」

「ついてくるならあげましょう」

鬼ヶ島へ行くというのに鬼を連れて、
再び桃太郎は歩き出します。

ひたすら歩く桃太郎、その青春。
それは彼がわずか17歳の時であった。

ずんずんずんと歩いていくと、
今度は犬がやってきました。

「桃太郎さん、吉備団子おくれよ」

人語を喋る魔犬を前にした桃太郎は、
恐ろしさのあまり逃げ出しました。

すると今度は、猿が現れました。

「桃太郎さん、鬼退治に行くから吉備団子下さい」

日本猿は天然記念物なので、
桃太郎は早速最寄の動物園に保護を求めて、
そのまま引き渡してしまいました。

桃太郎があと少しで鬼が島のところへ来ると、
次はキジが現れました。

「桃太郎さん、吉備(以下略)」

桃太郎は今度こそダンゴをあげようと思いましたが、
そのときにはもう鬼が全部平らげてしまっていました。
桃太郎は怒ったキジに突っつかれました。

桃太郎は鬼を見て、軽蔑の眼差しで言いました。

「吉備団子全部食っちまいやがって」

海を渡ると、ついに鬼が島へ辿り着きました。
そこには、さまざまな金銀財宝と、美女達が居ました。
そして、大鬼が現れました。

「悪い鬼め、退治してやる」

大鬼は自分よりはるかに小さい桃太郎を見て、
笑いながらこう言いました。

「地上に災厄と混沌を齎す為、我は汝に驟雨を持って此れを降す者也」

わけのわからないことを言う大鬼に、
桃太郎はおじいさんの作った刀で斬りかかりました。

大鬼はそれをひょいとかわし、
桃太郎を棍棒で殴りつけました。

ドドーン!

しかし桃太郎はゾンビなので、丸で効きませんでした。

It's a monster!

桃太郎はそんなこんなで大鬼をやっつけました。

そして金銀財宝と美女を両手に、
意気揚々と老後まで、にわか楽しく暮らしたという話です。

めでたしめでたし。いやよくねえ。

戻る