★ヒカルの碁 新刊★
2002年
5月3日 ぷにケット5     
5月4日 SuperComicCity11

タイトルロゴ「恋のシャレード2」

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■試し読みコーナー■


前回の「1」では「塔矢一家シリーズ」と、「ヒカル&佐為シリーズ」の
塔矢側、ヒカル側の同時進行の同じ内容の小説という形式で
やっておりましたが、わかりにくいと言うことで、
今回から普通に1つの物として書いていくことにいたします。

カップリングは(カップリングといっても・・まだつきあってないですが)、
塔矢アキラ×進藤ヒカル
です。

基本的に、ちょっと変な塔矢アキラが進藤ヒカルにラブラブファイヤーです。(笑)
それに、塔矢父母のわが子を思うあまりの暴走や、
緒方さん(白スーツ)の暗躍などにより、
アキラとヒカルは翻弄されていくことに?!

■ヒカルの碁 小説■
試し読み
【主なあらすじ】
毎日ヒカルをストーカーして、幸せな毎日のはずなのに、なぜか満たされない気持ちのアキラ。
憂鬱そうなアキラを救うため、塔矢父母はある作戦を決行する。
 塔矢アキラには、最近悩んでいることがあった。
 近頃、双眼鏡で覗いた画面をそのまま写真に撮れるという「デジカメ付き双眼鏡」・・いや、「双眼鏡付きデジカメ」・・どっちでもいいが、そういうものが新発売で出るということをネットニュースで知り、高価だったので母に借金までして手に入れた。
 そのおかげで、ヒカルの授業中の寝顔や、ぼーっとしてる顔も、葉瀬中の向かいのビルの屋上から撮り放題になり、大変嬉しかったのだ。しかし、月日が経つにつれ、アキラの心にはむなしさばかりが残るようになっていた。
「なぜなんだ・・。僕はこんなに進藤のすべてを見ているのに・・。なんだろう。この満たされない気持ちは・・。」
 アキラは自分の部屋で、ヒカルの写真を畳いっぱいに並べて、眺めながらきゅっと心が痛いのだった。


「最近、小食ね。アキラさん。」
 ある日の朝食。母がふとつぶやいた。
「あ、そうですか?」
「そうよ。ちっとも箸がすすんでいませんよ。私の料理の腕、落ちたかしら?」
 母は、心配そうに頬に手を当てて、自分の作った料理を見回した。どれもこれも高級料亭で出されるような素材の味を存分に生かした申し分ない料理である。
「いや。ちっとも落ちてなどいない。おかわり。」
 塔矢アキラの父、塔矢行洋はお茶碗を母にさしだした。
「あらあら。あなた。今日はもう3杯召し上がりましたよ。」
「そうか。ならいい。」
 父はおかわりは1食3杯と決まっている。どんなに食べても中年太りになったりしないのだが、最近健康についてテレビや本で勉強している母は、夫の健康を気にして、1食3杯までと決めたのだ。
「あなたが、3杯食べている間に、アキラさんはお茶碗半分ですよ。全く、どっちが成長期なんだか・・・。」
「食事はおいしいんですが・・なんだか胸がいっぱいで・・・。」
「まぁ。」
「胸がいっぱいか。」
「はい。」
 アキラは、深いため息をついて、茶碗をテーブルにおいた。父と母は顔を見合わせる。
「ごちそうさま・・。すみません。残してしまって・・・。」
 アキラは、箸も置いた。