★ヒカルの碁 新刊★
2002年
8月9日 夏コミ1日目
■ヒカルの碁 小説■
試し読み【主なあらすじ】
ヒカルに告白をする決心をしたアキラは・・。
(↓始まりを少し抜粋)
「決めたぞ。」
塔矢アキラは、ぱたんと手帳を閉じた。ヒカルの隠し撮り写真の中からお気に入りを何枚も挟んでいるので、ぱんぱんだ。
アキラは、握り拳を振り上げて叫んだ。
「今週中に進藤に・・進藤に・・告白をする!!」
机の上には一番気に入りのヒカルの笑顔の写真を、パソコンで引き伸ばしてプリンターで出したものが額に入れてある。その写真を見て、決意を新たにする。
アキラは気合いを入れるために、いつも父が大事な手合いの前にやっている「あれ」をやってみる事にした。
「エイエイオーーー!」
「あなた、アキラさんが、鬨の声をあげていますわ。」
なぜか塔矢夫妻は、アキラの部屋の隣で耳をそばだてていた。
実はここ数日アキラがなんだか思い詰めているようなので、心配になってこうして密かに二人で様子をうかがっているのだ。これも息子に対する愛、海より深い親心である。アキラの憂鬱は塔矢家の憂鬱である。
「うむ。とうとう決心したようだな・・・。」
父はこくんとうなずいた。
「どうするつもりかしら。アキラさん。初めての告白ですもの。心配だわ。」
「まぁまぁ、お前は心配性だな。まるで過保護なんだから。」
「あなただって。市河さんや緒方さんにアキラの外での様子をレポートにして提出させてるくせに。」
「ははははは。まぁ、いいじゃないか。」
「それでもやっぱり心配だわ。市河さんや緒方さんにアキラの行動をこの数日間はよーく見張って欲しいと頼まないと・・。」
「そうだな。何かあったら私たちが即座に駆けつけ、役に立ちたい。アキラのために!」
塔矢夫妻は二人で顔を見合わせ、強い瞳でお互い誓い合った。誓いを強くするために、小声で声を合わせて言った。
「エイエイオー。」