■ねこ猫ヒカル 4 告知ページ■

《表紙イラスト:chagama》
《本文:織夜》
KEY-FLOWER PRESENTS

2005年6月12日アキヒカオンリーイベント「追って恋ッv」にて、発行予定の
「ねこ猫ヒカル本 3巻」の情報のコーナーです。一番下に試し読みがあります

●仕様●
オフセット(表紙1色刷り・インク:ラベンダー)・50ページ↑↓予定(表紙込み)・A5・価格未定

既刊(1巻〜3巻)の通販こちら
《内容》
●ホームページで連載した4章8話分(20ページくらい)と、書き下ろし7話分(30ページ予定)を加えたものになります。



●パソコンを開かなくてもいつでもどこでも読みたい方に最適!(笑)
《お話のタイトル集》
書き終わったものからタイトルと、その中から台詞の抜粋を載せていきます。<随時更新>
各話タイトル より抜き台詞
9話「イケナイ事なの」 ヒカル『開けて・・塔矢に何を言うの?オレが本当に好きか・・確かめる?イケナイ事なのか聞く?塔矢はなんて言うんだろう。』
10話「心の裂け目」 ヒカル「何で言っちゃいけないの?その方がオレわかんない。オレと塔矢は特別同士なんだよね。大好き同士なんだよね?なのになんで誰にも言っちゃいけないの?」
11話「戻らないヒカル」 佐為「まずいかもしれませんね・・。まだ確固たる物が何も掴めていないというのに・・・。」
12話「自分への嫉妬」 アキラ『好きなら好きだと・・もっと伝えなければダメだったかもしれない。進藤のわがままも少しは聞いてやって、時間を作って向き合わなくてはならなかった。そんな一時しのぎの方法で進藤への膨れ上がる気持ちをなくせるわけがないのに。』
13話「帝の追っ手」 ヒカル『多分・・なんとなくわかっただけだよな。だって、オレの声、塔矢には「ニャ」っとしか聞こえねーはずだもん。』
14話「特別と運命」 アキラ「お母さん、進藤がボクを好きなのはボクが拾ったからじゃありませんよ。運命だからです。」
15話「救う薬」 和谷「オレ達はヒカルの君の事が大好きだし、ヒカルの君が幸せになる事ならなんでもしてあげたいんです。」
16話「夢見るヒカル」 ヒカル「そうか・・『誓い』ってこういう事なんだ・・。」
17話「きっと熱いくちびる」 ヒカル「ほら、こんなに熱くなっちゃった。」
18話「初めての夜」(3巻完結) ヒカル「塔矢じゃなきゃイヤに決まってんじゃん。」
4巻に続く・・・
《試し読み》 (9話から一部抜粋)
【9話 イケナイ事なの】
「塔矢ったら、お風呂で滑って転ぶなんてさぁ。」
 アキラはヒカルの言葉で耳を痛めながら、朝ご飯をモクモクと食べた。
「ほんと。ヒカルちゃんが呼びに来た時はびっくりしたわ。また鼻血かと思って。そしたらもっと大変な事で驚いたわ。」
 母の言葉がぐさぐさと突き刺さる。
「気絶していたからな。2階まで運ぶのが大変だったぞ。」
「あなた、明日くらいに筋肉痛になるんじゃない?」
「バカ言うな。あれくらいなんて事ないさ。普段ひそかに運動をしているからな。」
「ラジオ体操じゃ運動とは言えませんよ。」
 ハハハと皆が笑って楽しげにしていても、アキラだけは笑う気になれない。
「ごちそうさま・・。」
 おかずには手をつけず、とりあえず米だけ食べて、アキラはよろよろと席を立ち、出ていった。
「アキラさん、元気ないわね。具合悪いのかしら。」
「昨日の失態を気に病んでいるんだろう。」
「最近、アキラさん、変じゃありません?鼻血を出したり・・気絶したり・・ほら、あなたに初恋がどうとか聞いてもいたし・・。誰か好きな子でもできたのかしら。」
「あれも十五歳。好きな子がいてもおかしくないだろう。」
 ヒカルは父と母の会話を聞いて、きょとんとした。
「お父さん、お母さん、塔矢の好きな子ってオレだよ?」
 二人の視線がヒカルに向く。そして、母はころころと笑った。
「まぁまぁ。そうね。アキラさんはヒカルちゃんが好きだわね。」
「アキラの言っている事は猫の事じゃないだろう。」
「オレの事だよ。」
「同じ学校に好きな子がいるという話だ。緒方が言っていた。」
「まぁ、緒方さんが?」
「ウソ!違うよ。塔矢はオレが好きだもん。オレだけだって言ったもん。」
「そりゃあ、飼っているペットはお前だけだ。確かに好きだろうが・・。」
 父はヒカルが泣きそうになっているのを見て、困った顔をした。
「いいじゃありませんか。ね?アキラさんはヒカルちゃんが好きだもの。それは本当だものね。」
 そういう母の声色もヒカルをなだめるような感じで、余計にヒカルを傷つけた。
「お母さんも本当は、塔矢がオレじゃない誰かを好きだって思ってるの?」
 誰も信じてくれない、誰も本気にしてくれない事がヒカルにはショックだった。
『ボク達が恋している事は秘密に・・。言ってはいけないよ。』
 アキラがいつしかそう言った事をヒカルは思いだした。二人だけの間の真実は、二人以外の人に言ったところで認められないものなのかとヒカルは初めて知った。
『そう言えば、和谷も・・オレと塔矢が一緒に風呂に入っているって言ったら、その事は佐為には言うなって言った。言ったら連れ戻されるって。その時はなんで連れ戻されるのか理由なんか気にもしなかったけど・・まさか佐為にオレ達が恋している事が知れたら怒るって事?佐為が怒るようなイケナイ事?塔矢と恋する事が・・。』
 ヒカルの身体を、不安がなめ回すように襲ってきた。
『でもオレ達は赤い輪を出した。それは佐為も認めた・・。でも赤い輪を出す事は・・恋する事とは別なのかな。オレは同じ事だって漠然と思っていたけど、本当は違うの?・・・塔矢も本当は・・本当は・・オレと恋なんてしたくないって思って、他の誰かを・・恋をしても皆が納得する相手と恋をしたいと・・思ったのかな。だから、最近、オレの事避けてるの?』
 ヒカルの目の前が闇に覆われる。闇の中を今までのアキラとの生活がチラチラと投影される。
『魔法の本の通りにしたのに、塔矢は驚いてはいたけどオレに触れてくれないのは同じだ。優しいのは変わらないけど、なんだかよそよそしいし、オレが甘えると困った顔するし・・。』
 ヒカルの闇の中を冷たい視線のアキラがちらりと振り返り、どんどん遠ざかっていく。
「ヒカルちゃん?」
 テーブルを見つめたまま動かなくなったヒカルに母が声をかけるが、聞こえていない。
「と・・塔矢・・。」
 ヒカルはダッと突然走り出した。つるつるの廊下に足をとられてうまく走れない。いや、足が震えて、力が入らない。

続きは本の方で。疑心が芽生えたヒカルはどうしてなっていくのか・・・お楽しみに。
    

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