最終更新日:2005年9月24日 23:59:19
表紙イラストアップ
ページ数、詳細アップ
予定より書き下ろしページ数増えました
通販予約受付について
■ねこ猫ヒカル 4 告知ページ■ 《表紙イラスト:chagama》 《本文:織夜》 KEY-FLOWER PRESENTS ![]() クリックすると大きな画像で開きます。 |
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2005年10月10日アキヒカオンリーイベント「アキヒカサプリ」にて、発行の 「ねこ猫ヒカル本 4巻」の情報のコーナーです。 ●仕様● オフセット(表紙1色刷り・インク:ラベンダー)・84ページ(表紙込み)・A5・価格600円 ●通販について● 通販希望の方は、イベント前にお申し込みいただけます。 ただし、発送はイベント後になります。(10/11以降順次) 通販の仕方についての詳細はこちら(通販のページ)をご覧下さい。 なお、既刊(猫ヒカ1巻〜3巻)も同じく、上記リンクの通販ページをご覧下さい。 |
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《内容》 | ||||||||||||||||||||||
●ホームページで連載した4章8話分(22ページ・書き足しました)と、書き下ろし9話分(37ページ)を加えたものになります。 (このページの一番最後に試し読みがあります。) ●今までチラシなどに書き下ろしたショートストーリー(16ページ)も入れます。 (収録短編:猫の恩返し、ねこ猫ヒカルのバレンタイン、童話のようなキスをして) ●パソコンを開かなくてもいつでもどこでも読みたい方に最適!(笑) |
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《お話のタイトル集》 書き終わったものからタイトルと、その中から台詞の抜粋を載せていきます。<随時更新> |
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《試し読み》 12話より抜粋 | ||||||||||||||||||||||
「あら?ヒカルちゃん、手、どうかしたの?」 朝の食卓で母がすぐに気づく。 赤い糸みたいな光が、左手人差し指から出た後、その跡は指輪をはめているように赤くくっきり跡がついたままだったので、アキラが気を利かせて絆創膏を貼ってくれたのだが、逆効果だったようだ。普通あんまりけがをしない指の付け根にぐるっと絆創膏をまいていたらいやでも目立つ。 「え、えっと・・。」 ヒカルがしどろもどろになると、アキラがすぐに助け船を出した。 「昨日の銭湯の帰り道でつまずいて転んで、ちょっと赤くなっていたので貼っただけですよ。」 「そ、そうそう!ちょうど手をついたところに石か何かがあったみたい。」 「そうなの?たいした事ないならいいんだけど、もし痛いんだったらちゃんと消毒しないとね。」 「うん。痛かったら言うね。お母さん。」 ヒカルはニコニコ笑って、 「それじゃあ、いただきまーす!」 とご飯を頬張った。 いつものように食事もすんで、二人が部屋に戻ると、夫婦二人きりになった。 「ねぇ、あなた。」 「ん?」 熱いお茶をすすりながら、父は新聞に目を走らせている。 「今日のヒカルちゃん、なんだかおかしくありません?いつもと違うわ。」 「そうか?」 「なんだか、元気いっぱいで・・。」 「いつもそうだろう。」 「なんていうのかしら・・。キラキラしてるわ。」 「いつもと同じじゃないか?まぁ、昨日銭湯に入ったからな。私が洗い方を指南してやったのが良かったか。」 「あら、あなた、断られてたじゃないですか。自分でやるからいいって。」 男湯と女湯の間の壁は、上部がぬけているので、会話が筒抜けだったようだ。父はごほんごほんとわざとらしく咳払いをしてごまかした。 「まぁ、元気なのはいい事ですけどね。すっかり仲直りしたみたいだし。」 母も熱いお茶をすすった。 ヒカルとアキラが部屋に戻ると、伊角が来ていた。もちろん猫の姿で、障子に影が映っている。 「ニャニャッ。ニャニャン。」 ヒカルに窓を開けてもらうと、伊角はトンと畳に降りて、うやうやしげに礼をした。 「なんだって?」 猫語がわからないアキラはヒカルに聞く。普段猫同士の会話はそっとしておくのだが、伊角の何か緊張した雰囲気を感じて、気になったのだ。 「なんか、すぐに猫の国に戻れって。佐為が呼んでるんだって。」 「えっ。」 アキラはいやな予感がした。今朝のヒカルの指に現れた赤い光のことを、もう佐為は知っているのではないのかと、何となく思った。佐為はアキラにも予想がつかない力を持っている猫という認識があって、すべてお見通しな気がしたのだ。 「どういう用件だって?」 「一晩だけ戻ってこいって。すぐに帰すからって。心配しないでって。オレ行ってくるよ。」 心配そうなアキラをよそに、ヒカルはあっさりと承諾する。 「また勉強の事かなぁ。やべっ、最近さぼってたからなー。」 ヒカルは頭を掻き掻き出されていた宿題の巻物を戸棚から出しに行く。伊角はヒカルの足下を先回りしてすり寄った。 「えっ?宿題は持って行かなくていいの?なーんだ。」 「し、進藤。」 「ん?」 「その・・もしかして佐為がキミを帰したくないと言っても・・キミは戻ってくる・・よな?」 「え?何言ってんの?そんなわけないよ。だって、今までだってちゃんと帰ってきたでしょう?」 「そうだが・・。」 「佐為はオレ達の事、なんだかんだ言っても認めてくれてると思うよ。前にオレが大変だったときも、塔矢の所に戻れるように力を貸してくれたし。」 「そう・・。でも・・いや・・。」 アキラはうろたえた。佐為はヒカルにとって親同然なわけで、自分はその恋人なわけで、その上昨晩はただごとではない関係を持ったのだ。実際に人間の社会で考えてみても、この状況は親には立腹されてもおかしくない状況で、「責任をとれ」とか「結婚を考えているんだろうな」的な反応なら儲けたものだが、「お前のようなどこの馬の骨かわからん人間ふぜいにうちのかわいいヒカルはやれません!」とか「よくもヒカルを傷物に・・許しません!誰がここまでしていいと言いました?」などと否定的な怒りを持たれればおしまいである。アキラは、頭をフル回転させたが、いい考えが浮かばない。ここでヒカルを行かせていいのか、それとも引き止めてもっとよく佐為への対策を考えるべきなのか。しかし普段囲碁の事ばかり考えている頭ではそういう修羅場系の切り抜け方を思いつかない。 『と、とりあえず、進藤が帰るというならしょうがない。ボクは精一杯の誠意を見せるべき・・。』 アキラはオーバーヒート気味の頭をくらくらさせて、 「キミが猫の国に帰るなら、佐為に伝えて欲しい事があるんだが・・。」 「塔矢が、佐為に?何?」 「ち、近々話したい事があるから、うちに来てくれないかと・・言っておいてくれないか。」 「話したい事って何?」 「いや・・キミとの事をちゃんとしておかないといけないと思って・・。」 「ちゃんとって?」 「その時にきちんとボクから話すから・・。キミの恋人として。」 さっぱりわからなかったが、ヒカルは「恋人」という言葉となんだか真剣なアキラの様子にワクワクして、 「ふーん。わかった。言っとく。そうだ。お父さんと佐為に会わせるって約束したし、ちょうどいいや。今度こっちに来るように言うよ。」 と、ニコニコ笑いながら言った。 「じゃあ、いこっか。伊角。」 ヒカルはいつものように寂しくなるような事を考えて猫の姿になるつもりが、昨晩の幸せが大きかったためか、どうしても猫の姿に戻れなかった。しょうがないので、伊角の妖術に手伝ってもらって猫に戻してもらう。 「ニャッ。」 ヒカルはかわいい縞猫の姿になって、ぶかぶかになった人間用の洋服の中から這いだして、片手をあげてアキラに挨拶をして出ていった。 「あの姿、久しぶりに見たな・・。なんだろう・・なんかイヤな予感がする。やっぱり行かせちゃまずかっただろうか。それともボクが心配性なだけか・・。」 昨晩これ以上ないほどに幸せだった分、やけに不安にかられるのだろうか。 アキラは庭から母に声をかけられるまで、じっとヒカルが出ていった窓の外ばかり見ていた。 (今回9〜11話がネタばれ満載なので、12話の初めの方から試し読み掲載しました。この前と後は本の方をお楽しみに!) |
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表紙画像 イラスト:ちゃがま | ||||||||||||||||||||||
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