激闘!ペア碁対決
【2話 以心伝心】
■このお話は9号ジャンプのヒカ碁カラー表紙に触発された、お遊びシナリオ風ショートストーリーです(笑)■
CM中。
アキラの「目からビーム」によって、吹き飛ばされた緒方だったが、看護婦さんがオロナインを塗ってくれたので修復の兆しが見えてきた。
緒方「はぁ・・さすがのオレも今回は死ぬかと思った。」
佐為「それだけしょってても生きているんだから大丈夫でしょ。」
緒方「しょってる?・・なんの話だ?」
佐為「生き霊ですよ。」
緒方「は?」
佐為「・・あなた、たくさんの女の人を泣かせてるでしょ?」
緒方「なんだって?」
佐為「背中にたくさんいらっしゃいますよ。泣いたり怒ったりしている女の人が・・。お気を付けにならないと。」
緒方「・・・そういえば最近肩の辺りが重いな・・。あんた、霊能者か?」
佐為「霊能者?いえ、しいていれば・・霊・・かな?うふ。」
緒方「ははは。藤原さんも冗談がお上手だ。」
佐為「うふふふうふ。」
緒方「はははははは。」
CMあけ
佐為「さて、熱戦は続きます。どうでしょう。緒方さん、戦況は。」
緒方「そうだな。うむ。オレの予想通り、アキラ君と進藤のチームの方が優勢だな。」
佐為「あら?でも、なんだか、様子が変ですよ。」
1手打つたびにヒカルとアキラがお互いの顔を見つめている。
佐為「なんだか、お互い目で合図しているですね。目だけで意志疎通しているんでしょうか。」
緒方「以心伝心というやつか。二人で作戦を目と目で合図して練っているのかもな。」
佐為「あら?和谷と伊角の方も。」
緒方「ん?あっちは何か困ったような顔をして見つめ合ってるな。なんだ?もう投了の相談か?」
佐為「まさか。まだまだどっちの組も戦況は確定していませんよ。」
和谷「タイム!伊角さん、ちょっと・・。」
緒方「伊角・和谷チーム相談タイムです。なんだ?何を相談しているんだ?」
和谷「伊角さん、どうする?」
伊角「ああ・・どのみちこのまま打っていても自滅すると思うけど・・。」
和谷「だよな。俺たちはより心を一つにしないとな!」
伊角「それより、見たか?あの塔矢の怖い顔・・。真剣を超えてないか?」
和谷「オレもそう思う。進藤を見つめる目の熱いこと・・。こえーぜ。オレ絶対塔矢とペア碁はごめんだ。」
伊角「ああ。でも進藤も負けていない。」
和谷「うん。塔矢に物怖じせずに対抗できるのって進藤くらいかもな。、結構怖いものなし。」
ヒカル「和谷達はタイムか・・。なんだろ。」
アキラ「・・・・・。進藤・・君はわかっているのか?」
ヒカル「わかってるさ。」
アキラ「・・・・・本当に?」
ヒカル「わかってるって。それよりお前さ・・。」
アキラ「なんだ?」
ヒカル「・・・・なんでもない・・つーか、集中して碁を打とうぜ。」
佐為「和谷、伊角席に戻ります。相談は終わったようですね。」
それからしばらく、何事もなく対局が進む。両者なかなかに良い勝負である。
しかし、しばらくすると、またヒカルとアキラがよく見つめ合うようになる。そのうちヒカルが怒ったようにアキラを睨み付けだした。
佐為「なんだか、ヒカル。怖い顔してますね。」
緒方「ああ。アキラ君も結構進藤のことを睨んでいるようだが・・。」
佐為「あら?なんだか、ヒカルの今の一手・・。おかしいですね。」
緒方「塔矢が左上隅を攻めにかかっているのに、進藤は右下を攻めにかかっている・・。これは一体・・。別々に攻めるのか?いや、それでは・・分が悪い・・。」
佐為「伊角と和谷の方はきっちり方針が同じに見えますね。」
緒方「新手の作戦か?進藤・・。」
アキラとヒカルはギリッと睨み合ったまま動かなくなる。
アキラ「ふざけるな!!」
アキラ、とうとう堪忍袋の緒が切れて立ちあがる。
ヒカル「ふざけるなはそっちだろ!?」
和谷「おいおい。対局中だぜ。タイムとるならとれよ。」
アキラ「タイム!進藤こっちに来い!」
ヒカル「来いだって?!全部お前が悪いんだろ!?」
アキラ「なんだって!?君はさっきわかっていると言ったじゃないか。」
ヒカル「オレだって集中して碁を打とうぜって言ったろ?!」
アキラ「集中して打ってるじゃないか!」
ヒカル「どこがだよ!」
アキラ「君こそ、なぜ左上隅を攻めない。」
ヒカル「お前と同じ所なんか攻められるか!」
アキラ「なにぃ!それじゃペア碁じゃないじゃないか!」
ヒカル「お前が集中して打てば、オレだってちゃんとやるさ!」
和谷「・・普通相談ってこそこそしない?」
伊角「ああ。でもこれで俺たち、いけるかも・・。」
アキラ「集中しているじゃないか!」
ヒカル「お前が集中してるのは、オレの手をにぎる事だろ!?」
緒方「ぶっ。」
佐為「あらあら。」
アキラ「君はさっき「わかった」と承諾したじゃないか!」
ヒカル「それは、手なんか握らなくても・・・お前が言いたいことはわかってる。だから手を握るなって言う意味だ!」
アキラ「・・本当にわかってるのか?何がわかっているのかいってみろ!」
ヒカル「うわぁ。ここで?!そんなの!言えるわけないだろ!」
アキラ「言えない?本当はわかっていないんだろ!ボクがどんなに君のことを・・。」
ヒカル「と、塔矢!お前、信じられねぇ!!」
アキラ「信じられないだって?なら信じてくれるまで何度も言うまでだ!」
ヒカル「そういう意味じゃねー!もうやだ。」
アキラ「君が隣にいるのに、碁だけ打ってろって言う方が無理だ。」
ヒカル「開き直りやがったな!」
相談タイムの制限時間終わり。アキラとヒカルの相談(?)は平行線のまま終わり、この後、二人は各自それぞれ反発するように碁を打ってしまい、対して伊角&和谷は気のあった碁を打ち地を増やしていった。結果、塔矢&進藤チームは2目半負けしてしまった。
和谷「やりぃ!!思った通り!塔矢と進藤は自滅したな!」
伊角「ああ。」
ヒカル「お前が!手を触るから!!」
アキラ「ボクのせいだというのか?!それくらいのことで動揺して碁が打てなくなるなんて、君はそれでもプロか?!」
ヒカル「なんだと?!お前なぁ、大体人目があるところでそんなこと・・普通しねーだろ!」
アキラ「・・それは、人目のないところなら、もっといろいろ触っていいということか?」
ヒカル「ダメダメダメ!!」
アキラ「全く君は言ってることが不可解だな・・。」
ヒカル「お前に言われたくねーー!!!」
緒方「予想外の結果になってしまったな・・。」
佐為「ええ。でも、塔矢とヒカルがとっても仲良しになったのがよくわかって、私は嬉しいですけど。また、ちょくちょく様子を見に来れるといいですね・・神様にお願いしてみよっと。」
ヒカル「あ、佐為!また帰っちゃうの?ああ、もう!塔矢手を離せって!」
アキラ「離さない!」
ヒカル「ああ、もうムキになって・・。こうなるとこいつ言うこときかねぇからな・・・。」
アキラ「君は、ボクが手を離したら、この平安の格好の人とどこかに行ってしまう気だろう!」
佐為「まぁ、塔矢、妬いているのですか?」
ヒカル「こいつ、結構こんな顔してやきもちやきなんだもん・・。困るよ。」
佐為「ヒカル、またきっと会えますよ。塔矢と幸せにね。」
光に包まれて消えていく佐為。
ヒカル「あーあ・・いっちゃった・・。もう!お前が手を離さないから引き留められなかっただろ!」
アキラ「塔矢と幸せに・・って・・。」
ヒカル「な、なんだよ。」
アキラ「し、幸せになろう!進藤!!」
ヒカル「わぁ!抱きつくな!抱きつくなって!!!あ、ねぇ、緒方先生、黙ってみてないで助けてよ!」
緒方「・・・命が惜しいんだ・・悪いが、助けられないな。」
ヒカル「うわぁ、誰も頼りにならねー!」
ペア碁対決、これにておしまい。(対決だったのか?)
-----ひとまずおわり-----