恋のシャレードミニミニ劇場
〜ホワイトデーは誰の物〜




 3月14日はヒカルの中学の卒業式の日だった。(勝手設定)
 ヒカルは卒業式を終え、アキラの対局を見に行った。芹澤九段との本因坊リーグの第6戦だ。対局後アキラとヒカルは一緒に棋院を出る・・。

ヒカル「今日は惜しかったな。ところで・・今日はこれからどうする?」
アキラ「進藤は時間あるのかい?」
ヒカル「うん。」
アキラ「チャーンス(小声)。」
ヒカル「なんか言ったか?」
アキラ「いや、なんでも。そうだ。今日、お父さん達いないんだ。もし良かったら、ボクの家で今日の対局の検討をしないか。なんなら泊まっていってもいい。」
ヒカル「検討はしたいけど・・泊まるのはなぁ・・。」
アキラ「なんだ。その疑わしそうな目つきは。」
ヒカル「お前、二人きりだと・・その・・すぐ触ってくるからさぁ・・。」
アキラ「キミはボクをいつもケダモノ扱いするんだな。」
ヒカル「ケダモノっつーか、モノノケっつーか・・。」
アキラ「失礼な。」
ヒカル「触らねぇって約束すんならいいぜ。」
アキラ「神聖な碁盤の前でキミを押し倒したりなんかしないから安心していいよ。(にっこり)」
ヒカル「ふーん。ならいいけど・・。」
アキラ『碁盤を片づけてしまえば、押し倒していいって事だね!進藤!』(違)
ヒカル「それより腹減ったなぁ。なんか食べてこうぜ。」
アキラ「それなら、ボクに心当たりがあるよ。」
ヒカル「心当たりってなんだよ。」
アキラ「いいから。いいから。」
 アキラに連れられて連れてこられたのは、なんだか入った事もないような雰囲気の邸宅風の建物である。門をくぐってからしばらく石畳を歩かないと店にたどりつかない。人それを「料亭」と呼ぶ。
料亭の人「塔矢様、お待ちしておりました。」
アキラ「ああ、電話した例のアレでお願いします。」
 二人は和室に通される。どう考えても15歳の子供が入る店ではない。
ヒカル「塔矢・・こんなところ・・オレ、あんまり金持ってないのに。しかも電話っていつしたんだよ。」
アキラ「ああ、キミは別に払わなくていいよ。今日はほら、あれだろ。」
ヒカル「あれって?」
アキラ「3月14日はホワイトデーだろ。」
ヒカル「ホワイトデーとオレたち、関係ないじゃん。オレ、バレンタインになんかやったわけじゃないし。」
アキラ「バレンタインデーって何?」
ヒカル「・・それはしらねーのかよ。」
アキラ「ホワイトデーは「恋人同士のうち、将来夫になる方が妻になる方に孝行する日」だと聞いたよ。」
ヒカル「それ間違ってる。・・つーか、誰が夫で誰が妻だよ!」
アキラ「とぼけないでくれ。進藤。まぁ、いいじゃないか。よくわからないけど、ここの料理はおいしいし、楽しくいただこう。」
ヒカル『まぁいいか。塔矢のおごりって言うし。ラッキー。』
 細かい事は考えず、ヒカルはほくほくと初めての料亭の味に舌鼓を打った。
ヒカル「はー。食った食った。」
アキラ「おいしかっただろ。」
ヒカル「うん。料亭ってもっとちょびっとしか出てこないと思ったけど、結構食べ甲斐があったな。」
アキラ「キミはよく食べるから特別に『育ち盛りコース』にしてもらったんだ。」
ヒカル「そっか。ありがと。(その事電話で頼んだんだな・・。塔矢の奴。)」
 勝手に良い方に解釈して納得するヒカル。
アキラ「そうだ。今のうちに脱いだ制服、着ておいた方がいいよ。」
ヒカル「なんで?暑いから脱いだのに。」
アキラ「いいから。いいから。」
 アキラが、かいがいしく学ランの上着を着せる。着せ終えた頃、ヒカルは急に体がだるくなってくる。
ヒカル「あれ?なんだろ。なんか眠いような・・。」
アキラ「そろそろ効いてきたかな。(小声)。」
ヒカル「なんか言ったか?」
アキラ「いいや。一つ言い忘れたけど、実はキミの料理にだけ少し手を加えさせてもらったよ。」
ヒカル「え?」
アキラ「お母さん特製の秘薬だから安心して。キミがいつも逃げるからしょうがないんだ。」
ヒカル「おいっ!なんの薬だよ。安心できねーし!」
アキラ「ホワイトデーは、『恋人に孝行した後、恋人をおいしくいただく日』だと聞いているよ。いただきます。」(手を合わせるアキラ)
ヒカル「それも違ってるし!ちょっと待て!塔矢!くそっ。なんか身体がうごかねー。」
アキラ「隣の部屋に布団も敷いてもらってあるから安心しろ。進藤。」
ヒカル「お前、今日は触らねーって言ったじゃん!うそつき!」
アキラ「大丈夫。碁盤はないから。」
ヒカル「碁盤とかそういうの関係ない!」
アキラ「ボクだってここまでしたくはなかったが・・・ホワイトデーは将来の妻を物で喜ばせ、そして夜も喜ばせる日だと聞いたら、ボクも将来のキミの夫として頑張らねばならない・・・そう思って頑張っているんだ。ボクの愛を受け取ってくれ。進藤!」
ヒカル「誰から聞いたんだよ!その偽知識!」
アキラ「偽だなんて失敬な。ボクの両親から聞いたんだ。」
ヒカル「ええーー!?」
アキラ「もしかして、照れてるのかい?進藤。」
ヒカル「ちっがーーう!!・・じゃあなんでさっき学ラン着せたんだよ。やってる事がよくわかんねー!」
アキラ「キミ、今日は卒業式だったろ?」
ヒカル「うん?」
アキラ「一度制服を脱がしながら・・ってしてみたかったんだ。キミ、それよく似合ってるし。今日を逃したらもう二度とチャンスがないじゃないか。」
ヒカル「げげっ!」
アキラ「キミが着替えずに制服のまま、棋院に来てくれたから、ボクの気持ちがわかっているんだと思ったよ。進藤。」
ヒカル「ちがーう!!」

 ヒカルはいただかれてしまったのか。これはこれで幸せだからいいか。(えっ)  さくっと終わる。(笑)すみません。なんか微妙な感じの話に・・・(汗)

--おしまい--



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