チュチュ裏語り
その3

「罪と罰」

 2003年に入って初めての本放送「罪と罰」。
 いやはや、前半見た時はチュチュで久々にげらげらわらわかしてもらいました。(前に笑ったのは14話目の前半ふぁきあに説教するみゅうと。その前は12話の鳥アヒルの正体をふぁきあにばらした時の二人のやりとり)
 今回雛の章は今からラストの辺りはかなりハードを通り越してヘビィになるんじゃ・・と思っていたので、最初の方にこういう楽しいのがあるのはほっとします。
 ふぇみお・・すげーインパクト。顔は美形でも声はオヤジ。しかも、濃い。キャラも濃いが、声も濃い。多分あのナルシスキャラに、「子安さん」とか「置鮎さん」とかそういう声優さんをあてると当たり前すぎてここまでおもしろくなかったと思うんですよ。いや、子安さんがやったらやったで凄そうだけど。でもなんかアニメファンとしては「ありきたり」だったかもしれません。
 しかし、ここはさすがチュチュ。はずしません。ふぇみおの声に「パパイヤ鈴木」。パパイヤさんと言えば、大きな体なのに美しくキレのあるダンスが本業。チュチュとは踊りつながりなのですね!でもなかなかふぇみおにパパイヤ鈴木さんというのは半分確信犯、半分賭みたいな感じでしょうか。ところがどっこい。なかなかぴったりではないですか。最初は微妙な違和感があったものの、その台詞回しに、ふぇみおが話すだけで笑えてきます。するめのような噛めば噛むほど味のでる配役。特に「ああっ!」っていう叫び声がいい!自分の体を抱いて「ああっ!」というあれです。あの叫び声が罪に満ちてていい感じです。タダの美形キャラではなく、味があって忘れられない感じがしました。

 今回のこの話は、雛の章の中で第4話に当たります。第4話というと、卵の章ではジゼル。次の5話に進むステップ的な話になっており、5話でさらに2・3話の基本パターンかと思われるパターンをうち破る、つまり起承転結で言う「承」の部分に当たるわけです。
 卵の章では、4話でるうが初めてチュチュに会いますし、みゅうとは何かを求める気持ちが芽生えます。チュチュは「私も愛する人とは結ばれない運命」とウィリの乙女に話しかけ、自分の悲しい運命を静かに受け入れていることを示しました。こんな感じで、話の中にいくつかのこれからのきっかけとなる部分が隠されていたように思います。
 雛の章でも同じように卵の章を少しだけなぞった感じで、お話が展開されています。第1話でみゅうとが窓から落ち、チュチュがそれを助ける構図は卵も雛も同じです。しかし、卵と比べて、雛では落ちた理由が波乱含みです。2・3話では、卵も雛も「おきまりパターン」の基本の確立がされています。普通アニメだと、このおきまりパターンが、水戸黄門の印籠シーンのように10話分とか延々と続くのですが、チュチュは4・5話で転機を迎えます。卵の章でそうであったように、雛の章でも4話ではみゅうとに代わり、るうが誘惑します。そして、最後、みゅうととるうの立場が逆転する予感を示しています。
 今までお人形さんでるうの言いなりだったみゅうと。しかし、みゅうとは変わりつつある。変化を嫌ってみゅうとをお人形さんにしたかったるうですが、今度は逆に大ガラスの血によってみゅうとは変わりつつあり、父と同じようにるうを「愛する」という名目の元に「利用する」人間に変わりつつあるようです。
 今まで、本当のみゅうとに戻ることを恐れ、自分も変化したくないと思っていたるうが、この先、それが本当に正しいことなのかと悩み、自分も変化しなくてはならなくなるような気がします。そして、本当のみゅうとに愛してもらえなくては意味がないことも、るうは気づくのでしょうか。

 そういう観点から、今回の「罪と罰」というタイトルは、ふぇみおさん向けのタイトルと思わせておき、周りをギャグで固めて、ふぇみおという濃いキャラで薄めてありますが、結局の所、このタイトル。るうちゃんのことなんですね。
 みゅうとの心に大ガラスの血を染みこませ、操り、運命をあやしい力で曲げて愛を手に入れようとした「るうの罪」に、今「罰」が下されようとしている・・。それはお人形になったはずのみゅうと自身によって、るうにもたらされようとしている「罰」・・。
 でもるうが気づかないうちに希望の光は差しています。あひるの「るうちゃんはクレールとは違う。るうちゃんはるうちゃんだ。」という言葉に強く反発できないるうは、まだクレールになりきっていないし、るうに戻れる可能性が十分にあると思います。

 いやはや、なかなか深いお話で、今回の話で、今後がさらに楽しみになりました。

 そういえば、「罪と罰」の中で、ふぁきあが図書館にいるときにみえた窓の影。
 あれを「ドロッセルマイヤー」だといっているのをよく目にしますが、あれはドロッセルマイヤーでないきが・・。ドロッセルマイヤーはもし窓から覗くにしても、あんな風に手を窓にかざして覗かなくても見れるはずですし、頭の飾りがありませんでした。
 なんか全身マントで覆われている感じで、頭にはフードをかぶっていたように思います。もしかしたら、ドロちゃんの新しいマシーンかしら。エデルさんには裏切られたので、今度は自分そっくりな操り人形を作ったとか・・。
 それか、次回の「彷徨える騎士」の「騎士」はふぁきあの事でなくて、別にいるのかも。彷徨っている騎士が。あれはそいつかも。ふぁきあを覗いていたし・・・。

 その辺の真相も楽しみですね。

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