羽根に尻尾に今度は鎖だぁ?
んっとに、好き勝手にいろいろくっつけてくれるよな、とけうしゃさんは(溜め息)。ま、俺が自己申告したモンばっかだけどさ。

ジャラジャラ
「・・・・・重くねぇか、この鎖( ̄▽ ̄;)!?」
思わず一人呟いてしまう悪魔うしゃぎ。
「ったく・・・加減を知らねーのはどっかのぽやぽやうしゃぎと並ぶな(ぼそ)」

誰が誰と並ぶって?(時計うしゃぎ)

「あ、自覚あんだ?」

・・・突っ込まないで下さい(T^T)(時計うしゃぎ)

「ぽやぽやかあ・・・」
そっぽを向いて、何やら考えている悪魔うしゃぎ。
口元に、意地の悪い笑みが浮かんで(怖)、鎖を軽々と弄びながら。
「・・・あいつ、どーしてっかな」
そう呟くと、黒と白の羽を広げて、南公園の方へ飛び始めた。



片方の羽根は天使からの贈り物。
片方の羽根は悪魔からの烙印。
綺麗に巻き付けた鎖は決して解かれない戒め。

気付いたら切望してたものばかりで。
存在自体に矛盾を覚えたって、俺はこの姿が気に入ってる。
いつから欲しがっていたのか、分からないものだらけだけど。
何故?いつから?
・・・俺は俺なだけだ。いつでも。

『記憶が無くて』
困る事って何?
欲しいものは自力で掴めばいいし、頼れる相手が欲しいわけじゃない。
頼れる相手、信じられる相手、友達?大事な、相手。
一定の距離をさえ置けば、いくらでも付き合える、相手。

心なんか、見せる訳がない、相手。
「お前のせーだ」
「お前が殺した」
「お前が」「お前が」「お前が」
呪文のように耳の奥で響く、声。

「・・・・うぜ」
少し強く持った、自我で。
灼けるような胸を守るために、響く声をまた、殺して。
また、どこからともなく、響いてくる、呪文。

いつからこうなった?
繰り返し、繰り返し、呪われては、殺して。
この胸を灼きたくはないから。
・・・守る価値があると思えなくても。

生まれ堕ちたそれが罪?
壊すために産声を上げて
傷付けるために在るのは俺だけ?

世界を狂わせているのは俺だけ?
・・・守る価値のない胸にも、痛みは、まだ。
すっかり麻痺したように見えて、そこかしこに潜んでは、隙を狙う。

ジャラ

冷たい鎖を握り直して、その冷たさに心の熱を預ける。
どうしようもなく熱くなる胸を抑え込んで。
いっそ直接、心を鎖で縛れたらどんなに楽だろう。
身動き一つ取れないで、ひたすら冷し続けて。
完全に痺れてしまったら、俺は自分すら感じ無くなれるだろう。

「・・・・友達」

あの公園が見えて来たのに、いつまでも、堕りて行けない、心。
傷付けるために在て。
壊すために産声を上げたのが俺だけじゃないとしても。
世界を狂わせているのが俺だけじゃないとしても。

俺だって、その内の一人だ。

守る価値のない胸が、また、尋ねる。
・・・フレテ、コワシテシマウツモリ・・・?

もうすっかり着いたのに、どうしても、堕りて行けない、心。
鎖で縛れない代わりに、鋭い杭で。
いっそ黙らせてしまいたい心。
俺を惑わせるな。俺を惑わせるな。俺を惑わせるな。

マタコロシテシマウノニ・・・

俺を惑わせるな、惑わせるな、惑わせるな・・・

ナノニフレテシマウツモリ・・・

惑わせるな、頼むから、もう・・・

「あくうしゃっ!?」
・・・・・・・・あ・・・・・・。
「あくうしゃ、飛んで来たのっ?スゴイ、ふゆ、逢いたかったんだよっっ!!」
「・・・・・・・・・よ、お」
「あの道、いっぱい、行ったんだよっ!」
「・・・・・・そか、わり・・・・」
「んとね、ありがとうとか、いっぱいゆいたくてっ、そいでねっ」
「・・・・・・・?」
「んと、その、ふゆと・・・ふゆとっ!お友達になって下さいっ(ぺこり)!!」
・・・・・・・・とも、だち。
俺の目の、前で。
とても綺麗な生き物が、俺に友達になってくれ、と、頭を下げている。
友達に、なって、くれ・・・・・?
「(どきどきどきどきどき)」
「・・・・俺の事なんか・・・」
「みゅ(きょとん)?」
「俺の事なんか、何も・・・」
「あくうしゃ(見上げる)?」
ふゆうしゃの真っすぐな目が、俺の醜さまで見透かしそうに光っている。
「・・・・・・お前、俺の何を知ってるから、んな事ゆんだよ」
「あくうしゃ・・・?」
「名前と、一回会っただけの、俺に、何でんな事ゆんだよ?」
苛々する。こいつに当たっても仕方ないのに。
「何で・・・んな事、簡単にゆうんだよ。軽い、言葉、なんて」
違う。こいつの言葉が軽い訳じゃないのに。違うのに。簡単になんて言ってないだろう、軽くなんかないだろう。こんなに綺麗な生き物が、俺は。
「・・・・・・」
黙り込んでしばらく考え込んだ。
自分の中で整理しないと、もう俺はかなり滅茶苦茶だった。
「だから、俺は、多分、お前が・・・・って、をい」
決意して、言おうとしたら、目の前に居たはずのふゆうしゃが居ない。
ちょっと見回すと。
「ああ!?」
庭樹を登って、ゆっくり、ゆっくり、空に近付こうとするふゆうしゃが見えた。
「おまっっ!何やってんだよっっっ!?」
「(んしょ、んしょ、んしょ、んしょ)あく、うしゃの、とこ、まで」
慣れてないのか、本当にゆっくりだけれど、ふゆうしゃは、登って、来る。
堕りていけない、俺の心の場所まで。ふゆうしゃが、登って、来る。
「・・・・・・・」
・・・・俺は、言葉が、見付からなくなってしまった。
ただ、ふゆうしゃが、俺に、近付いてくる。
空に、捕われたままの俺に、こいつは、触れて、くれるんだろうか。。。
「(んしょ、んしょ、んしょ、んしょ)もう、ちょっと、待って・・・ねっっ!?(ガクンッ)」
あ?
「おいっ!」

どすんっっっ

「・・・・・ふええ・・・~(>_<。)ゝ」
「・・・・・ふええ、じゃねーよ、馬鹿・・・」
二匹のうしゃぎが重なって、地面に倒れて。
ふゆうしゃぎの下で、苦笑している悪魔うしゃぎ。
「んっとに滅茶苦茶だな、お前」
「ふええごめんなさい・・・・[壁]ノ_・。)クスン 」
「あー、泣くな( ̄▽ ̄;)。大丈夫だったろ?」
「ん、ありがとぉ・・・」
申し訳なさそうに、悪魔うしゃぎの上から降りるふゆうしゃぎ。
そんなふゆうしゃぎをじっと見つめていた悪魔うしゃぎは、やがて諦めたように。
「・・・友達だからな。助けて当然だろ」
「(耳ぴくっ)みゅっ!」
「さて、そろそろ帰るかなあ。何か思いっきり疲れたし(苦笑)」
「あくうしゃ、友達っっ??」
「嫌なのか?」
「(>_<;=;>_<)っっっ」
必死で頭を振るふゆうしゃぎ。思わず、呟く悪魔うしゃぎ。
「・・・きれーだな、お前」
「みゅ?」
「何でもねー。じゃな、また遊んでやるよ(w)」
「もう帰っちゃうの??」
「いろいろ忙しーんだ、俺は♪」
そう言うと、背中の羽根を拡げて、ふわりと浮かび上がる。
「またね、また行くからねっっ」
「おー。迷子になんなよー(w」
あっと言う間にふゆうしゃぎが小さくなって、空だけが悪魔うしゃぎの世界になる。

夕暮れの街を飛びながら。
「・・・・・友達」
ゆっくり、声に、出してみる。

守る価値のないはずの胸に、それは、とても、染みて。

ほんの一時的にも。
もしかしたら永続的にも。
・・・俺の、救いに・・・なる?

全ての罪が俺へと牙を向いて、呼吸さえ出来なくなって埋もれてしまっても。
あの綺麗な生き物は、俺の味方で居てくれるだろう。
あの綺麗な生き物は、俺を受け止めてくれるだろう。
あの綺麗な生き物は、俺が苦しむ塊を溶かしてくれるだろう。

「・・・・・本人、意図してねぇんだろけど(苦笑)」

夕暮れが夜を誘い終えた頃、一匹のうしゃぎが、何だか少しだけ。
『しゃあわせ』な顔で、空を散歩していた。

もくじ


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