<〜ちょっと番外っぽく〜>




「・・・・・」
月夜に、1匹佇む白いうしゃぎ。食い入るように見上げる月は、まだ少し欠けているようにも見える。それでも、じいっと見つめているしろうしゃぎ。その瞳は、昼間皆に見せたどの表情とも違って、いた。
「・・・・・」
そんなしろうしゃぎを、見つめている1匹のうしゃぎ・・・たまうしゃぎ。
「かぐや姫ってやつだな。月にでも帰るのか」
「・・・いきなり、何ですか?」
大して驚いた風でもないしろうしゃぎの問いを無視して、たまうしゃぎは続ける。
「月に帰るんでないなら、何か願いでもかけたのか」
「あは♪しませんよ、そんな・・・人間みたいな事」
「そう言う割に、人間ぽいな。いつでも何か隠してそうだ」
「いつでも何か、か・・・」
はぐらかす調子から、一つ、トーンを落としてみるしろうしゃぎ。探り合い?たまうしゃぎが何を知りたいのか、自分は何を知って欲しい、のか。
「・・・・欲しい物くらいはありますから、私にも」
「欲しい物、か。月に願うくらいに?」
「そんな風に見えました(苦笑)?」
月を背負って時々、こちらを見透かすような目をするしろうしゃぎに、たまうしゃぎは少し焦れる・・・こいつは何を隠し持ってる?
「・・・ずっと見上げてたからな。何をそんなに欲しがってる?」
「(くす)その私をずっと見ていたあなたこそ、何が欲しいんですか?」
核心。
「・・・・そうだな。お互い、欲しいわけだ(溜め息)・・・参った。」
月を仰ぐたまうしゃぎに、しろうしゃぎがいつもの調子で尋ねる。
「あは、負かしちゃいました?」
「クセモンめ」
たまうしゃぎの一言に苦笑するしろうしゃぎ。
「ひどいなぁ。最初に探って来たのはたまうしゃでしょ(苦笑)」
「・・・・最初に誘ったのは・・・」
「私、は」
遮るようなしろうしゃぎの声が、瞬間、表情を失くす。
「誰も・・・呼んでいない」
その瞳は何も映さないまま、ただこう言っていた。『何も、期待などしていない』
「・・・・・」
そうして、たまうしゃぎには分かってしまう。
『誰にも願ったりしない』
月にしか、願いを望みをかけられない、しろうしゃぎの心。
「・・・・・・俺は」
「?」
しばらく黙っていたたまうしゃぎの不意の言葉に、戸惑うしろうしゃぎ。
「誰も呼ばなかった。それでも、ここのご主人は俺を見付けた」
お前もだろ、と言って、また月を仰ぐたまうしゃぎ。
「誰も呼ばなかったのに、ふゆうしゃに見付かって。今は、俺に見付かった」
「・・・・・」
月よりも近い、場所に。願いをかけていい相手が・・・。
そんな気持ちが、ほんの少しだけ、しろうしゃぎの脳裏をかすめた。懐かしいように滲んでは、消えていこうとする感覚。思い出していい感覚?分からない、感覚。
「・・・・綺麗な月だな」
たまうしゃぎの呟きが、妙に心地良く響いて、思わず。
「そう、ですね」

並んで月を見上げる、うしゃぎが二匹。
誰も知らない、秘密の月夜。


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