小俣雅史さん・作
―桜峰―
「それじゃ希ちゃんお先に。あ、それと例の件、よろしくね」
「わかりました。是非、行かせていただきますね。それじゃ健さん、さようなら」
健は希に軽く釘をさすと、ルサックの裏口を出て帰途についた。
バイトの帰り道、流石に冬のこの時間帯の寒さは一線を画している。亜熱帯と化しつつあるこの日本でも、やはり温帯である冬は凍える程の寒さを感じ、健も早くこの状況から逃れようと朝凪荘まで足を急がせる。
(あー、クリスマスパーティかぁ。とと達は大丈夫だってほたるから聞いたし、希
ちゃんもOKと……後は、先生だけだな)
健が少しでも寒さを紛らわそうと、クリスマスパーティのことについて思考をめぐらせ始めたその時だった。今丁度考えていた先生こと南つばめが、健の視界の中に現れた。片手にはコンビニの袋が握られており、以前健が『その格好じゃあ死にます』
と言って自分で購入してまで着させたコートを羽織ったつばめが歩いていた。健はす
ぐにつばめだということを認識すると、つばめの後姿に声をかけた。
「先生!」
健が元気良く声をあげると、つばめはそれに反応して健の方を振り返った。
「健くん、バイトの帰りなの?」
「はい」
そう言って健は立ち止まったつばめの横に並び、連れ立って歩き始めた。丁度よ かった……先生にパーティのこと話しておこう。
健は朝凪荘につくまでつばめととりとめのない雑談を交わし、さび付いた門を開いてからクリスマスパーティについての話を切り出した。
「あの先生、実は話があるんですけど……」
「なに?」
そうつばめは応答しているがその歩みは止めなかった。朝凪荘の玄関へ足を進め、 健もそれに習って自分の部屋へと戻りながら話を進めた。
玄関に入り、階段を上がり、部屋の前にたどり着く。
「で、どうですか先生」
「そうね……面白いわね、きっと」
「それじゃあ、行ってくれるんですね」
「ええ。それじゃあ、おやすみ、健くん」
「あ、おやすみなさい」
つばめは健に挨拶すると、自分の部屋の扉を開けて中へと消えていった。
つばめに関して、行くという方針で話が纏まった。
つばめの部屋の扉が完全に閉まるのを確認すると、健は自分の部屋の前へと戻り、すっかり冷たくなった金属のドアをノブに鍵を差し込んだ。捻ると鍵が開いて、健はドアノブを回して自分の部屋へとやっと帰り着いた。そのまま部屋の中央まで進んで、健は電気をつけると、上着を手近にあったハンガーにかけて、朝から敷きっぱなしだった布団に寝転がる。
(これで全員かぁ。楽しくなりそうだな……でも、信くんの友達ってどんな人なんだ ろ)
健は静流の話していた信の友人のことを考えた。どうも境遇はぼくに似ているらしい。それだけの認識ではあったが、それだけでも随分と興味の引かれる話だった。もっとも、誰でも話の上での人間がどんな人かは気になるもので、健も例外でなかっ たというだけの話ではあるが。
どんどんっ
健があれこれ想像していると、その思考を中断するように部屋の扉をノックする音が聞こえた。信くんだ。健は即座に悟った。長くここに住んでいると、ノックの音だけで誰が来たのかわかってしまうのだ。ただ単に健の部屋を訪れるのが、ほたる、 信、つばめ、翔太の四人くらいだからという理由もあるが、ノックにも個性が出ているところもまた面白い話しだった。とにかく健はそれを信だと悟ったので、すぐに返事をした。
「はい、どう」
ガチャ
健がどうぞと言い終わる前に扉は開かれた。どうやら信はいることだけでも確認できれば強引に入るらしい。
「ぞ……」
言い終わった時には既に部屋の入り口に立っている。
「よぉイナケン。パーティのメンバー、全部集まったか?」
「あ、はい。一応……」
健は信の質問に答えながら体を起こしてあぐらを組むように座りなおした。
「そうか」
健の返事を聞いた信は一回頷いた後、急に破顔した。それを見て健は背中に寒気が走って60センチばかり後退したが、信はそのことに対して突っ込むことはなかっ た。
「んっふっふっふ……イナケンよ、これぞまさしく『ハーレム』というヤツじゃない
かね!?」
信はガッツポーズをしながら健に同意を求めた。しかし健は信が言ったハーレムというものの理由がわからなかったために、困ったような表情を見せる。
「な、なんでハーレムなんですか?」
「どう考えたってそうであろう。全員合わせて15人。そのうち、女の子はなんと1 1人もいるのだ!! まぁ彼女持ちのお前とあいつには関係のない話だが、俺にとっては9人が守備範囲、出会いの宝庫なのだあ!!」
あればクラッカーを鳴らしながらファンファーレでも吹きそうな信の浮かれように
健は苦笑するしかなかったが、別にそのことは嫌だとは感じていなかった。それより
健が気になるのが、人数の多さである。15人も呼ぶくらいなので、一人暮らしとい
えど実は親とかがお金持ちなのかもしれない。健は少し親近感が薄れていった。
「いやマテ……よく考えたら中身は皆俺の知り合いばっかじゃないか……。うーん。
まぁ皆イイから頑張っちゃおう! 俺!」
「はは……ん?」
突然ポケットからメールの着信音が鳴り出した。健は何も考えずにポケットから電話を取り出すと、やはり画面にはメールの着信を知らせる表示が出ていた。それは静流からだった。健はすぐにメールを開いて内容を確認した。
「ん? 誰からだ、イナケン?」
「静流さんからです」
健が携帯をいじっているのに気がつき、信がディスプレイを横から覗く。
「えと……クリスマスパーティのメンバーのことですね……」
「追加の話か?」
「ええ、ぼくの方の追加を聞いてきたんですけど…………」
健は信と会話しながらメールにつばめと希の追加の件について打ち込み、手早く送信した。
「これでよし……」
しっかりと送信したことを確認すると、健は携帯電話をポケットにしまい込んだ。
「つーことは、もう後は行くだけだな」
「そうですね」
「あー早くクリスマスにならねえかなぁ……」
信はそうぼやきながら体を入り口の方へ向けて、そのまま玄関のドアノブに手をかけ挨拶もせず出て行ってしまったが、別にいつものことなので健は気にしない。その後姿を一瞥して見送ると、健は再び布団に横になった。
「ふああ……眠……」
バイトの疲れもあってか、急に眠くなってきた健は他に何かすることもないので、 電気を消してそのまま瞳を閉じた。すると健は数秒もしないうちに、睡魔という快楽 の魔手によって漆黒の闇の中へ落ちていった。
―澄空―
「……なんでオレ達だけこんな寒い思いをしなければならんのだっ!」
「まぁまぁ智也。皆ちゃんと家で飾り付けだとか準備してるんだから、私達は楽な方
だと思うよ?」
今日は待ちに待ったクリスマスイヴ、つまりはクリスマスパーティ決行の日である。その為、準備の一つとして、智也とその友人の音羽かおるが澄空までクリスマスケーキを買いに出かけていた。やはり当日とあって、商店街の込みようは熾烈を極
め、どちらを向いてもクリスマスである。
街頭販売はそこら中で行われており、若い男女のカップルが談笑しながら歩いているのが見える。そんな様子を寂しそうな瞳で見つめる街頭販売人のモテなさそうなサンタの服を来た男達を見てふと優越感に浸る智也だったが、隣にいるのは正確には彼女ではないし、ましてそんなことを考えていても寒いのを紛らわすには不十分だっ
た。
「ねえ……何だかこうしてると私達って恋人同士みたいだよね?」
商店街の中を並んで歩いていると、ふとかおるが智也の方を向きながら呟いた。
「あーさぶ……ん? なんか言ったか?」
「あ、い、いや……何でもないよ……」
「?」
何でもないというかおるの表情は少し暗く、言葉が聞き取れなかったのが少し悔やまれた智也だったが、それでも寒さには勝てずすぐに思考を奪われた。そのまま歩き続け、色々と街中を見回っていると、いつの間に表情を明るくしていたかおるが一つのケーキ屋を指差しながら言った。
「ねえ智也。あそこのケーキってすごく美味しいんだよ」
そう言われて智也はそのケーキ屋の方を見る。するとそこには当然ケーキ屋があったのだが、智也はその景観を見てすぐに思った。
「かおるよ……あれは本当に営業しているのか?」
「なに言ってるの、閉店なんてどこにも書いてないでしょ? 一応電飾もついている し」
「その一応って辺りが危ないな……」
そのケーキ屋は、パっと見本当に営業しているのかどうか疑わしくなる程ボロく、ケーキ屋だけに洋風の店ではあったが、どちらかというと『100年前から使われていない呪われた洋館』と言った方が正しかった。かおるの言うよう一応電飾らしき物が看板に張り付いているが、とても客を呼びそうにない店だった。そして外見同様客は一人も入っていない。
「……本当に美味いのか?」
高校に入ってから殆ど毎日澄空の街には来ているが今だかつて見たことのないこの謎の店に、智也は不安を隠せなかった。
「本当だよ。私も最初見た時は確かにそう思ったけど、友達との罰ゲームで買ってみたら、これがまた美味しくって」
「うーん……どう言っていいかわからないけど、とりあえずかおるがそう言うならそこにするか。他は込んでて話にならんし」
周囲の店を見渡しながら智也はそう言って自分を納得させ、その店に足を運んだ。一応は自動ドアで、智也とかおるが入り口の前に立つと、ガラスの扉が木の軋む音を立てながらギィっと横に開いていく。
(何故ガラスの自動ドアでこういう音が?)
智也はさらに不安感を増したが、それでもここまで来た以上引く訳には行かず、かおると並んで店の中へと足を踏み入れる。するとまず最初にケーキ屋独特の甘い香りが――しない。一応香りはあるがそれは何か違うもので、しかし決して不快な訳ではなく、されど形容し難い不思議な香りだった。
正面にはカウンターがあり定員が見当たらず明かりも暗いが、ガラスケースの中には普通のケーキが並んでいた。結構普通なのかもしれない。智也がそう思って少し安心した瞬間だった。
「ヒィィァァァァァァァッ!!!!」
突然何かの甲高い鳥の鳴き声のような、断末魔の悲鳴のような、とにかく恐怖心に訴えるような声が店内に響いた。しかもエコー等の特殊効果が無い辺り余計に恐怖心を煽る。
「どわあああ!? なんだなんだ!?」
「きゃあ!」
これには流石に智也とかおるも驚き、お互い身を寄せ合いながら顔も見合わせた。かおるの表情は引きつっていて言葉もでないようだったが「前はこんなのなかった」
というような言葉を智也はその目から悟った。
しかし店内に入ってまで逃げ出すのも、智也の理解しがたいおかしなプライドが許さず、智也は一番美味そうでなおかつクリスマス専用と書かれていたケーキを選び、それを注文すべく店の奥へ向かって声を張り上げた。
「すみませーんっ!! この特製クリスマス専用ケィキってヤツくださいっ!!」
「…………」
「…………」
「…………」
しかし店の奥から反応はない。仕方なく智也はもう一度同じ内容の言葉を叫んだ。すると返事があった。
「ギィィィィィィィィィィッ!!!!」
「どぅおわっ!?」
「いやあああっ!!」
しかし返事といっても恐らく人語ではない。智也は悟った。この店は鳥類型宇宙人に乗っ取られている、と。そんな突拍子もないことを思う智也だったが、まだ現実を見る力は残っているらしく、恐怖で唇を震わせながら智也にしがみついているかおるをよそに、三度目の正直とばかりにもう一度叫んだ。
「……いらっしゃいませ」
「へ?」
すると、今度は意外にも(これが普通なのだが)普通の人間の反応があったので、智也は逆に驚いてしまった。それからすぐ店の奥からは、メイド服を多少アレンジしたような制服(?)を着た女の店員が闇の中から眼鏡を光らせながら現れた。
「あなた達はよく試練に耐えましたね。あなた方には当店のケーキを入手する資格有りと見て、好きなケーキを一つ無料で進呈します」
「は……はぁ」
何だか気が抜けて抗議やツッコミをする気も起きない二人は、とりあえず状況の甘んじることにして、無料でくれるというので『特製クリスマス専用ケィキ』を貰うこ
とにした。その旨を店員に伝えると、店員は深々と頭を下げてケーキを箱に入れ、智也に手渡した。
「ありがとうございました」
最後に店員は、智也達をこの店の雰囲気とは対照的な明るい笑顔で送り出した。
半ば茫然としながら智也達は店を出て、身を切るような冷たさの北風を浴びて、やっと二人は正気を取り戻した。
「……ま、店にも色々とあるということで……」
「きっと……イベントの時とかは……こうなんだよね……」
二人はそれぞれ自分を納得させると、会話のネタも見つからないまま商店街を歩き
出した。そして込み合う商店街の中を歩きつづけて、アーケードの出口が見えたとこ
ろだった。不意に智也と前から歩いてきた男の肩がぶつかる。
「あ、すいません」
「こちらこそ」
二人は反射的に振り向いて、お互い謝る。漫画のような不良との絡み合いは起きず平和的に解決が成されたようだ。智也は解決したと見ると、正面を向いてそのまま再び歩き出した。
ぶつかった男、伊波健はふと智也の顔を見た瞬間、既視感のようなものを覚えた。記憶のどこかで引っ掛かっているようで、何だか不快な気分を感じずにはいられなかったが、どうしてもそれを思い出すことができなかったので『デジャヴとかいうやつだろう』と強引に自分を納得させた。
「どうしたの健ちゃん? 今の人知り合い?」
健の腕に引っ付いている女性、ほたるが健の様子を見て不思議に思い、健の顔を見
上げながらその疑問を尋ねてみる。
「いや、なんでもない」
「ふーん」
健がそう答えると、ほたるは興味も尽きたようで、正面に向き直って健を引っ張る勢いで歩き出した。
「ほら、健ちゃん。早くしないとケーキ無くなっちゃうよ?」
「大丈夫だよほたる。こんなに街頭販売だってしてるんだし、無くなる方が不思議
だって」
急ごうとするほたるをなだめて、健は強引に歩調を緩めた。健がそうしたために、 ほたるは頬を膨らませながらも承諾してペースを健に合わせた。
健がどこで買おうかと迷っていると、突然ほたるが健の腕から離れて、一つの街頭販売に向かって走っていった。
「あ、ちょっと待ってよほたる!」
健はこの人ごみの中ではぐれると危ないと思い、そのほたるを必死に追った。すると何やら威勢のいい街頭販売の前にほたるは佇んでおり、バイトの男と何やら話して
いた。
「ほら安いよ安いよっ!! そこのお嬢はん、今日はね、ケーキ1個買うとなんとおまけに2個もついてくるっ!!」
「えーっ!? やっすーい!!」
どうやら言葉巧みなセールス(ほたるにしてみれば)にほたるはつかまっているようで、それを悟った健はほたるが騙されて買う前に急いでその場へ向かい交渉を妨害 に入った。
「ストォォップッ!」
「どわっ!? なんや兄ちゃん!?」
不自然な関西弁を操るその男は、健の乱入の驚いたようなアクションをする。顔は驚いているように見えないが。
「ねえ健ちゃん、ほら安いんだよここのケーキ。ケーキを買うと、おまけで二個も
ケーキがついてくるんだって!二個分もお得なんだよ!」
そうやって熱弁するほたるを健は制止して、販売員の男に健は話し掛ける。
「純粋な心の持主の女の子を騙さないで下さい」
「な、何人聞きの悪いことを」
「いくらあの子はボケっぷり全開で、騙されたことに気づかなくてもぼくが困ります」
それはそれでほたるへの中傷になっているのだが、健はそれでもほたるのことを思っているのに変わりはなく、男を糾弾していった。
「どこがだましてんねん! 営業妨害で訴えるで!」
「じゃあこっちは詐欺罪で訴えます。どうせおまけといいつつその分の料金もふんだ
くるつもりでしょう!」
「え、そうだったの?」
流石にその健の言葉にはほたるも状況に気づいたらしく、蔑むような視線を販売員に送る。
「うぐっ!!」
しかも図星だったようで、あからさまにアクションした。どうやらこの男は演技が下手なようである。
「やっぱり……とにかく、お断りです!」
そう言って健はほたるの腕を取ると、いつの間にか集まっていた野次馬を押し退けて、彼らの視線の届かない場所まで足を急がせた。
「そうかぁ……ほたるだまされてたんだぁ……。ありがと健ちゃん。やっぱりほたる
は健ちゃんがいないとダメだねえ」
混雑ぶりが弱いところまで二人がたどり着くと、ほたるはそう言って健の腕に前より強くしがみついた。
(……ほたるは素直なんだけど、そこがまた欠点というかなんというか……)
健はほたるという少女について考えてみたが、今は欠点しかでてこないので、ほたるに悪く思った健は思考を中断した。
それから二人は改めてケーキを探し、適当な街頭販売を見つけて今度は面倒なく購入した。
「これで後は行くだけだね、健ちゃん」
「そうだね……あ、そろそろ待ち合わせの時間だな。急ごう、ほたる」
「うんっ!」
時計を見て、静流達と待ち合わせの時間が近づいていることを確認した健は、待ち合わせ場所の澄空駅までほたると一緒に軽く走って向かった。
健達が澄空駅にたどり着くと、そこには既に待ち合わせ予定の健達を除く全員が集まっていた。
「はおっ♪ イナにほわちゃん」
「ととちゃ〜ん、それに皆、こんちわ〜」
「あ、でもそろそろこんばんわかな。こんばんわ、とと、静流さん、希ちゃんに寿々奈さん、それと先生。……で、そちらの方は?」
健は一人見覚えのない女性がいることに気がついた。見た目は女子大生といったと ころで、静流の隣にいることから恐らくは静流の友人だということが窺える。
「ああ、そう言えば実際に会ったのは初めてね。これは霧島小夜美って言って、私の親友でついでに今回のクリスマスパーティの立案者」
「どうも初めまして、霧島小夜美です。あなたが健くんね。話は色々と静流から聞かされているわ」
小夜美は親しみやすい笑顔を浮かべて健に自己紹介をした。その笑みから健は小夜美に好印象を持って、同じく笑顔で挨拶を返した。
「初めまして、伊波健です」
健がそう言って挨拶を返すと、突然小夜美は健の顔をじっと見つめ始めた。
「…………」
「……あの、なにか?」
「顔は似てないわねえ……前髪が長くて目が見えないのは同じだけど」
「へ?」
「あぁいえ、なんでもないわ」
小夜美の突然の行動に健は少し狼狽してしまったが、すぐに視線を逸らした小夜美を見て、別に何もないということを悟った。
「そろそろ電車が来るわよ」
各々同士話していた中、一人誰とも会話をしていなかったが寿々奈鷹乃が電車が来
ることを告げた。それに気づいた健とほたるは、先に改札へ入っていたメンバーをよそに切符を急いで購入し、ホームへと向かった。