激闘!ペア碁対決
【1話 ペア碁で胸きゅん】
■このお話は、29号ジャンプのヒカ碁カラー表紙に触発された、お遊びシナリオ風ショートストーリーです(笑)■
ここはあるホテルの結婚式も行えるようなホール。そこで、囲碁会の若手による「ペア碁」のイベントが行われた。
きらめくシャンデリア、普段新郎新婦が座るひな壇には、白い布がかけられ、碁盤が設置されている。
本日の対局は、近年プロになった中でも実力、ビジュアル共に優れた若者が選ばれた。
そして、その対局を解説する解説員は、特別ゲストが用意された・・。
佐為「みなさん、こんにちは。私(わたくし)、藤原ともうします。本日、特別に霊界から・・いえ、神様からお許しが出て、解説をしにきました。どうぞよろしく。」
緒方「あー、緒方です。オレも呼ばれました。ゲストです。・・・っていうか、藤原さん?」
佐為「はい?」
緒方「・・いや、変わった格好されてますね。今はやりの・・コスプレですか?」
佐為「え?変ですか?」
緒方「いや・似合ってはいますが。」
佐為「なら、いいですね。はい。では、対局者の紹介です。」
緒方『・・なんだ?こいつは一体・・・。』
部屋の奥の扉が開いて、選手入場。
佐為「まずは赤コーナー!塔矢アキラ&進藤ヒカルペアです!ヒカルー、ファイトですよー。」
ヒカル「あ!佐為!」
緒方「佐為?!佐為ってあの「sai」か?!ネット碁の?」
佐為「わーい。ヒカルー。」
佐為、ヒカルに向かって無邪気に手を振る。
緒方「おい!藤原さん!saiって・・あんた、saiなのか?!」
詰め寄る緒方。
佐為にこやかにかわす
佐為「あら、次の対局者が入場してきますよ。ほらほら緒方さん。」
緒方「ああ・・ええと、青コーナー、伊角慎一郎&和谷義高ペアです。・・どっちもよく知らないのにどうしてオレがこっちを読むんだ?(ぶつぶつ)」
佐為「以外と細かいこと気にする方なんですね。緒方さんって。」
緒方「なに?!」
佐為「いえ、なんでもありません。では、各選手に抱負を語ってもらいましょう。」
アキラ「今回は進藤とペアを組めて・・とっても幸せ・・いえ、進藤と協力していい碁を打ちたいと思います。」(営業スマイル)
ヒカル「えっと、オレと塔矢だったら、最近1週間に何度も会って碁会所で打ってるからさ。お互いよくわかってんだぜ。きっとスゲー碁を打てると思うぜ。」
和谷「えー、なんだよ進藤。塔矢アキラとそんな逢い引きしてたなんて・・意外だよな。知ってた?伊角さん。」
伊角「え?しらない。」
和谷「なんだよ。秘密にしてたのかよ。水くさいな。森下先生に言いつけるぞ。」
ヒカル「わ!和谷!森下先生には内緒、な?」
アキラ「・・内緒にしなくてもいいだろ?進藤。ボクとつきあってるのがそんなに恥ずかしい?」
和谷「つきあってる?」
ヒカル「うわぁ!塔矢、そういう言い方誤解を招くだろ?!それに、つきあってるって・・碁会所で碁を打ってるだけじゃん。」
佐為「わぁ、私がいなくなってから、随分親しくなったんですねぇ。うふふ。良かったですね。」
アキラ「碁会所だけじゃ、やっぱり物足りなかったのか・・・。今度は是非君の部屋におじゃまさせてもらうよ。お母さんにもご挨拶したいし。(二人っきりにもなれるしね。)」
ヒカル「なんの話だよ!」
和谷「痴話げんかかよ。」
伊角「意外だな。塔矢アキラと進藤・・。ちっとも共通項がないような気がするけど・・。結構仲良いんだな。」
和谷「伊角さんも、感心しないでよ。ああ、もう!さっさとはじめようぜ。この対局終わったらパーティあるんだろ?寿司ー寿司ー♪」
ヒカル「ご馳走出るの?!ラーメンは?」
和谷「ラーメンなんかでないだろ。普通。」
緒方「お前ら、さっさとはじめるぞ。それにしても、アキラ君と伊角君はタキシードも似合うが、なんというか・・和谷君と進藤は・・まるで七五三だな・・。」
佐為「かわいいですよね。」
和谷・ヒカル「ムッ。」
ブザーが鳴って、対局開始。二人ずつ並んで碁盤の前に座る2組は、途端に棋士の顔になる。各組の少し離れたところに、対局時計を持ったバニーガール。お茶を運んでいるのもバニーガールである。しかし、バニーガールのことになど、4人は目もくれない。碁盤だけを睨んでいる。
佐為「さて、対局が始まりましたが、緒方さんはどうですか?どっちが勝つと思います?私はもちろんヒカルと塔矢かなって思いますけど。親ばかってやつでしょうか。うふふ。」
緒方「親ばか??まぁ、オレもアキラ君の方だと思うけどな・・・。でもあの伊角という奴は、院生でもずっとTOPだった男らしいし、和谷も手合いでもかなりいい成績のようだし、良い勝負にはなると思うが・・。」
佐為「あ、私もそう思います。伊角も和谷も、ほんと、素直なよい子達ですから。ずっと頑張ってきましたもんね。私はよく知ってますよ。伊角の強さも和谷の強さも。それにあの二人は仲良しですからね。ペア碁のチームを組むのにはもってこいかもしれません。」
緒方「進藤は・・アキラ君とどれくらい親しいのか・・全く想像もつかないしな。でも、アキラ君の進藤にかける情熱と言ったら・・それはそれはすごかった・・。」
佐為「ほう。どんな風に?」
緒方「そりゃあ、寝ても覚めても「進藤、進藤」状態という感じかな。もうそりゃあ、いつでも考えているって感じで・・。」
アキラ、うつむいて、ふるふると震え出す。
ヒカル「ん?塔矢どうした?」
緒方「進藤の情報を手に入れるためなら、なりふり構わない感じだったな。いつだったかな・・若獅子戦の時か・・。進藤の打った碁に何かあるって、ずっと見ていたオレに教えろと食らいついてきたこともあったな。それに、普段お客さんの家に出向いての指導碁なんか断りまくってるくせに、越智・・・という院生のガキが進藤と対決するって知っていたんだろうな。ふたつ返事でOKして、それどころか、自分から毎日通ってもいいなんて言ってたらしい。そんなまわりくどい事しないで、進藤の事が知りたいなら、本人を捕まえればいいのにな・・。オレならそうする。」
佐為「そこが塔矢の良いところなんですよ。それに塔矢は自分からヒカルに会わないって言ってしまったから・・。」
緒方「なんであんたがそんなこと知ってるんだ??まるで見ていたように言うんだな。」
佐為「はい。見ていましたからね。私とヒカルは一心同体なんですよ。」
緒方「???。まぁ、いい・・・。とにかくアキラ君の進藤への執着っぷりと言ったら・・。なんだか、写真を撮っていて進藤用のアルバムが20冊あるとか・・。」
佐為「まぁ。」
さらに震えが大きくなるアキラ。気もそぞろに見えるが、ちゃんと碁はぬかりなく打っている。さすがはおかっぱ。普段進藤ドリームしていても勝てるだけある。
緒方「パソコンの壁紙も進藤の写真らしいし、塔矢夫人に進藤の人形を作ってもらったとか・・いろいろ俺は秘密を知っているんだ。ふふふ。」
佐為「へぇ。もっとすごい秘密も?」
緒方「ああ、もっとすごいとっておきの秘密も・・。」
アキラ「緒方さん!」
アキラがくるっと緒方の方を向くと、青い閃光が走った。
緒方「ぐはぁ・・!!」
青い閃光は緒方に命中。
ヒカル「なんか・・今、塔矢の目からビームが出たような・・。」
和谷「うわぁ、緒方先生、白目むいてるよ。」
アキラ「・・・さぁ、続けましょう。」
佐為「困りましたね。私一人で話さなくてはならなくなりました・・。ま、いいか。さて、では対局はまだまだ続きますよ。現在塔矢&進藤チームが10手目を打ち終わったところです。大体形は整ってきましたね。両者、なかなかいい感じですよ。では、一旦CM行きます。」
-----第2話-----