浴衣でGO!
【1話 夏の一局】
このお話は2002年33号ジャンプのヒカ碁カラー表紙を元に書いた、
お遊びシナリオ風ショートストーリーです(笑)
ヒカルの家の近所で結構大規模な夏祭りが開催される(商店街100周年記念らしい)ので、ヒカルが和谷や伊角を誘った。和谷が院生の仲間にも声をかけ、会場に近いヒカルのじいちゃんの家で待ち合わせることに。
ヒカル「和谷ぁ、今日は誰が来る予定?」
和谷「えっと、奈瀬と・・伊角さんだろ・・。あ、フクと本田さんは現地集合だって言ってた。」
ヒカル「ふーん。あ、噂をすれば・・。」
和谷「伊角さーん!こっちこっち。」
伊角「やぁ。進藤のおじいさんち、結構大きいな。蔵まであるし・・。」
ヒカル「うん。小さい頃はよく蔵で遊んだんだ。」
伊角「ふーん。」
ヒカル「あとは奈瀬か。あ、伊角さん、スイカあるよ?たべる?」
和谷「まだ日暮れまでには時間あるし、ちょっと碁でも打つか。せっかく進藤のおじいさんが碁盤も出してくれたし・・。」
伊角「誰と誰で打つ?」
表からキャッキャッという女の子の声が聞こえる。
和谷「あれ?奈瀬かな?一人じゃない?」
奈瀬「こんにちはー。」
和谷「お、奈瀬は浴衣じゃん。やっぱり女の子は浴衣だよな。」
あかり「こ、こんにちは・・。」
ヒカル「あかり!なんでお前。」
奈瀬「表で入りたそうにしてたから声かけたの。やっぱり進藤の友達だったのね。」
あかり「ヒカルの家行ったら、おばさんがここだって教えてくれたから・・。」
ヒカル「そっか。ま、いいや。一緒に夏祭り行こうぜ。あ、みんな、こいつ、オレの幼なじみで藤崎あかりって言うんだ。あかり、こっちは院生の時の友達。和谷と伊角さんと・・。」
奈瀬「私は奈瀬明日美!よろしくね。私だけ、まだ院生なんだけどね。いいな。みんなプロになってさー。藤崎さんは囲碁はやるの?」
あかり「え、あの・・すごく弱いですけど・・囲碁部なんですよ。」
奈瀬「そうなんだ。今度一緒に打とうか。」
ヒカル「奈瀬、あかりなんかと打っても楽しくないかもよ。」
奈瀬「まぁ、進藤って結構いじわるね。あかりちゃん、負けちゃダメよ。言い返してやりなさい。あんなやつには。」
あかり「えっと・・・。」
奈瀬「おとなしいのね。ほら、幼なじみなんだから進藤の秘密の一つや二つ知ってるでしょ?」
あかり「あ、それなら!ヒカルが6歳の時に花火を見に行ったんですけど、その時ヒカルったら・・。」
ヒカル「わぁ!余計なこと話すなよ!」
アキラ「ボクは聞きたいな・・。進藤の小さい時の話・・。」
和谷「げ?!塔矢アキラ?!」
伊角「いつからいた?気がつかなかった・・。」
ヒカル「うわぁ!お前、なんなんだよ。誘ってねぇぞ。」
アキラ「偶然通りかかったら君の声がしたから・・。」
ヒカル「嘘つけ!お前偶然通りかかったくせになんで浴衣着てるんだよ!」
アキラ「キミと夏祭りに行くため。」
ヒカル「だから、誘ってねーって!それに偶然じゃねぇだろ!」
和谷「進藤・・お前一度、身の回りのもの調べた方がいいぜ。盗聴器とかついていそう・・。」
アキラ「ははは。盗聴器なんてものはなくても、ボクにはわかる。ボクだからわかる・・。」
ヒカル「またわけのわかんねぇことを・・。」
アキラ「じゃ、打とうか。」
ヒカル「人の話を聞けよ!」
それでも、塔矢アキラとヒカルの一局が見てみたい和谷と伊角。黙って見守る。
ヒカルル「一局だけだぞ。」
アキラ「うん。」
ヒカル「一局打ったら帰れよ。」
アキラ「・・・。」
ヒカル「・・・。」
アキラ「キミがボクに勝ったらね。」
ヒカル「!。上等じゃねぇか。オレが勝ったら帰れよ!」
奈瀬「進藤、せっかく来てくれたんだもん。いいじゃないの。塔矢君も一緒に。」
和谷「奈瀬、お前何もしらねぇからそんなことが・・。」
奈瀬「なに?何か不都合でもあるの?」
和谷「オレの口からは言えない。伊角さんタッチ。」
伊角「え?え?」
奈瀬「何?なんで塔矢君はまずいわけ?」
あかり「塔矢君はヒカルの特別だから・・ですか?」
和谷「げっ!藤崎さんしってんの?」
あかり「前に塔矢君が何度かうちの中学にヒカルを捜しにきたりしていたし・・。ヒカルも塔矢君のこと特別だって・・。」
奈瀬「特別って何?特別だと何がまずいわけ?」
アキラ「ふふふ・・進藤・・。ボクのことを特別だなんてみんなに言ってたんだね。知らない間に公認か・・。これはもう、役所に書類を出すしか・・。」
ヒカル「うわぁ!特別ていっても、特別かわってるって事さ!勘違いするな、塔矢!」
アキラ「照れてるのかい?」
ヒカル「もう、お前黙って打てよ!」
奈瀬「よくわかんないわねー。仲いいの?悪いの?」
和谷「わかんない方が幸せって事もあるんだよ。奈瀬。」
対局終了。
和谷「3目半・・進藤の負けか・・。」
ヒカル「ちっ!」
アキラ「ボクの勝ちだね。じゃあ、約束通り、夏祭りには一緒に手を繋いでいこう。」
ヒカル「そ、そんな約束してねぇぞ。」
アキラ「ほら、暗いと足元があぶないだろ?転ばないように支えていてあげるよ。」
ヒカル「絶対やだ。」
アキラ「じゃあ、もう1局打って、決める?」
ヒカル「おう!望むところだ。」
もう一局打つ。しかし、またもや、ヒカルの1目半負け。
伊角「勉強になるなぁ・・。ここなんかさー。」
和谷「伊角さん・・囲碁のことしか考えてねぇな・・。進藤大変だぜ。」
アキラ「ふふふ。進藤、そんなにボクと手が繋ぎたかったんだね。わざと負けるなんて・・・。」
ヒカル「わざとじゃねぇ!くそっ。」
アキラ「まぁ、どっちにしろ、手を繋ぐのは決定だな。」
あかり「ヒカルと塔矢君ってそんなに仲良かったんだ・・。」
ヒカル「ち、ちが・・。」
アキラ「さぁ、行こう。ちょうど日も暮れ始めていい時間だよ。」
遠くで、盆踊りの音楽が聞こえはじめた。そうして、みんなで夏祭りに!
-----第2話に続く?!-----