BanGの風雨来記

BanGさん・作

一日目(2001/9/2)

羽田空港から新千歳空港まで一時間弱の飛行を終え、憧れの大地・北海道へ降り立つ。
今回の旅の目的地は道東・釧路方面。
まずは、釧路へ向かうための列車が出ている南千歳へと移動。
※この旅行は相方(ぬい)と一緒だったのだが、お互い自動車の免許を持っておらず、必然的に列車やバスなどの交通機関を利用する旅となった。

この移動時に乗った列車で、移動方向に合わせて背もたれの向きを変えられる座席に驚く。
※後に、単に私が世間知らずなだけで、さほど珍しいものでは無い事が分かった。

南千歳で釧路行きの列車を待つ間、なんとなく空を見上げてみた。
「違う・・・」
思わずそう言葉が漏れるほど、北海道の空は汚れた東京の空とは明らかにその色が違う。
北海道について一時間も経たないうちに、私の心はすっかり北海道に魅了されていた。

飽きるでも無く空を見ているうちに、釧路行きの列車が到着。
あいにく空き座席が無く、釧路までの約3時間はデッキに居る事になってしまう。
しかしここでも窓から見える自然がデッキに居る苦痛を忘れさせてくれた。

釧路に到着・・・が、さ、寒い。
この時初めて、道東は寒いところなのだと言う実感を抱く。
ただ、まだ我々は北海道の気候を甘く見ていた事が後に分かる。
ちなみに釧路駅には「ねこのたまご」と言う、この辺りでは有名な「松竹屋」という和菓子屋のオリジナル商品が売っており、相方が購入。
なかなかの美味なので、釧路周辺へ訪れた際には食して見るのも良いかと。

その、ねこのたまごを食べているうちに阿寒方面への列車が到着。
予定としては摩周駅からバスで阿寒湖畔へ行くつもりだったのだが・・・ついて見ると、人影も無く閑散とした駅の姿があるだけ。
バスの時刻表を見てみると最終便は午後5時近く、我々がついたのは既に午後6時過ぎで、道東の寒がより身に染みるようだった。

しかたなくタクシーを呼ぶ事にしたのだが、このタクシーがまた凄かった。
ドライバーは40前後の女性。
しかし、曲がりくねった道東の道路を頭文字Dを彷彿とさせる速度で駆け抜けて行く。
※100km近い速度
おかげであっと言う間にホテル『あかんパークイン』に到着。

さて、このホテル。
ホテルと言うよりは民宿に近く、オーナー夫妻の心遣いがとても有難いもので、予定よりも遅く到着した我々を温かく迎えてくれた。
宿について一安心した我々は、まともに食事をしていなかった事に気づく。
何か美味しいものを求めて辺りをうろつくが、阿寒湖周辺は釧路よりもさらに寒い。
なにしろ吐く息が9月初旬にも関わらず白いのだ。

そんな寒さと空腹で震えながら歩いていると「すすむのオリジナル木彫り屋」と看板のかかげられた木彫り細工のお店を発見。
店先でストーブにあたりながら木彫りをしているご主人もなかなか個性的だが、それ以上に店先に出された宣伝文句が面白かった。

「北海道で売られているジャガイモはなぜ安いのか?それは自分で造っているから。
 ここの木彫り細工も自分で造っているから安い!」
と、直筆の立て看板が。
至極もっともな話なのだが、ご主人の風貌もあいまって何故か説得力があるものに見えるから不思議だ。

じっくり見て行きたかったのだが空腹だと言う事を訴えると、美味しいわかさぎの天ぷら料理が食べられるお店を紹介してくれた。
このわかさぎもまた絶品で・・・っと、これは実際に食べないと美味しさは伝わらないので割愛。
※さっぱりとした味で、生臭さなどが全く無い素晴らしい味だったとだけ言っておく。

その後また色々と眺めていると次々と来客があり、どうやら結構名物のご主人な様だった。
どうせならご主人に色々お話を伺おうと思い(この先まだ二泊する事もあり)そのままホテルへと戻る事にした。


−二日目に続く−

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