しま★ちゃんねる劇場


過去の演目

■オーブントースター

昨日、我が家のオーブントースターとさようならをした。
おととい、買ってきた揚げ物を年季の入ったオーブントースターで温めながら、ちょっと離れた洗濯場で汚れ物の手洗いをしていた。すると台所から、「ポンッ!」と勢いのいい、小さな爆発音が!
あわててゴム手袋をしたまま台所に出て、オーブントースターをじーっと見たけど、特に異常はなく、なんだろなあ、と思いながらまた洗濯場へ。加熱時間はあと1分くらいだったので、気にしないで手洗いに集中していた。
チーンと鳴って、よしよし、と思いながら、あと少しの手洗いをしていたら、二階にいた夫がタッタッタッタッと足音も荒く駆け下りてきて、
「焦げてない? 焦げ臭いよ」
と言いながら、あわてた様子でオーブントースターの扉を開ける。
わたしもさっきの音が気になっていたので、見に行ったけど、とくに焦げ臭くはないし、ちゃんとアルミで覆っているので焦げてもいない。
二人とも、なんだろなあ、と思いながら、食事をした。

さて、夫の方は、揚げ物が焦げてないので、とくに疑問もなく、食後のくつろぎタイムを謳歌しているようだったが、私はあの音が気になって仕方がない。
それで、もういちどオーブントースターの点検に出た。
よくあるのは、中の電気(?)の棒が折れている、というやつだけど、とくに折れた様子もない。
ただ、下にアルミの欠片がいくつか落ちていたのが気になった。下の電気の棒に近い。
これが加熱しておかしくなったのか?
それで、トースターの下のゴミ受け皿を引き出してみた。
その小さな受け皿の上は……!
錆がたまり、アルミの欠片も落ちていて、下が見えない。
ギョギョッ。
たまっていた錆の粉やらパンくず、アルミの欠片をとりあえずゴミ袋に落とすと、そこからは大きな穴のあいた錆だらけの鉄板が現れたのであった。ガーーーン。
自慢ではないが、多分これを引き出したのは2回目くらいだ。
このトースターは、夫が昔から使っているもので、結婚したときにはすでにかなりの年季ものだった。
受け皿の穴は、よく見るともう一つ、小さいのがあいていた。
横になってのんびりしている夫にそれを見せると、
「何これ?」
という。
「トースターの受け皿」
と説明すると、
「えっ。とれるの? それ」
「……ふつう、とれるよ」
「知らなかった。買って20年くらいになるけど、一回もとりだしたことない」
「……」
私は気を取り直し、いやいや、そういうことではなくて、穴があいてるんだってば!
と説明すると、夫は、ようやく事態を把握したのか、あわててトースターをおいていた台所の床の点検をはじめた。でもね、すでに私、点検済みだよ。焦げてなかったよ。危機一髪だったかもしれないけど(笑)。

一通り床の点検をして、大事ないことを確認した後、夫に、なんだかわからないけど「ポンッ!」って鳴った、と言うと、
「それはトースターが最後を告げた音だよ」
と厳かに言ったのだった。

2003年2月23日


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