自分自身の努力で自分を良くしていきたい、変えていきたいと思っている人にお勧めの方法です。リラックス体操を根気よく続けていれば心身ともに必ずよい変化が現れてくる、と言い切れます。
でも毎日やらなくとも、また怠け者でも役立つ体操でもあります。
テレビを見ながらやっても良いし、身体に深く深く集中して瞑想のようにやってもどちらでもそれなりに役立ちます。とにかく気持ちよい感じやすっきり感が出る範囲でやること。すると気持ちよいので自然にまたやりたくなるのです。これが野田式リラックス体操のポイントです。
まず強調したいのは、体をほぐすこと(ゆるめる、柔らかくする)が人間の心身の健康にとって非常に大切であることです。身体がほぐれることによって体内の血液の流れを筆頭に様々な流れがスムースになります。もちろん脳内も同様です。
それによって人間生命体の自己治癒力が最大限に発動されます。
最近のヨガブームだけではなく、一般的な雑誌でマッサージやアロマテラピーその他のさまざまなリラクゼーションの特集をよく見かけます。けれどもそんな癒しブームの中でも精神的な面では相変わらず頑張ることや、より早く、より強くあることが理想とされ目標となりがちです。もちろん行動する時や、緊張する時には強くしっかりと堅くなる筋肉がよいわけであり、がんばり抜く意志力が大切なのは当然なのですが、、、
生きていく上で安らぐこと、リラックスすることはやはりおまけ程度のものとなりがちです。リラックスの重要さとその理解はまだまだ遅れています。出来れば学校教育の中に、上手に深く休む(やすらぐ)ことを学ぶ授業を取り入れるくらいになってほしいものです。
はじめに、体をほぐすことがどうして役に立つのかを簡単に解説します。次に自分で自分の体をバランス良く、効率よくゆるめ、ほぐしていくためのポーズとその時の心構えや注意点をあげ。最後にほぐれた体とともに心もリラックスして深く休息するコツを学びます。
気軽にできる範囲でからだ全体をバランス良くほぐしていける最低限のポーズでコンパクトに構成してあります。背骨を中心に前後に、曲げる。反らす。左右に曲げる。ねじる。またもう一つは、股関節を中心に下半身を伸ばし、柔らかくしていきます。
また、ただやみくもに柔らかさを追求したり、また、のんべんだらりと行うのでなく、意識のもって行き方を工夫することで、心身一如の効果をねらっています。
体がほぐれることによって、血管も開き血液の流れもスムーズになります。又他のホルモンや神経系の流れもスムーズになるでしょう。圧迫された内臓ものびのびと働き出します。呼吸が楽に深々と出来るようになります。たぶん脳内細胞のシナプスの連絡もスムーズになるでしょう。
逆に言うと日頃は緊張すること、堅くなることで、様々な身体内の流れや連絡網を中断したり、押さえたりして心身をコントロールしているといえそうです。
体の構造上から、背骨と股関節を基本にして体全体をまんべんなくほぐし、伸ばしていくポーズを取り上げました。要するに頭のてっぺんから足先までを一本の棒と思って、それを柔らかくすることと、もう一つ股関節に関して、二本の棒がV字型につながっていて、そのつながった部分をどのようにでも動かせるように柔らかくしていくと言うことです。
もう一つ肩関節が残っていますが、肩にかんしては背骨と股関節を伸ばすポーズを行っているうちに、ある程度ですが付随的に伸ばされていきます。
背骨、頸椎を前後左右に曲げたり伸ばしたり、又ねじったりします。
股関節関連では、開脚したり、膝の後ろを伸ばしたり、正座をして上体を後ろに倒して、膝の前側を伸ばしたりしていきます。
体に注意を向けたりせず、テレビを見ながら、ラジオを聴きながらでも体操は出来ます。何か考え事をしながらでも体操はできるわけですし、それでも十分効果はあります。でも、より良くなりたい場合や、特に心理的な効果をより望むなら、体操を行っている間、できる限りからだに注目して、身体感覚を味わい感じ取る事をしましょう。
フォーカシングというとても役立つ心理技法がありますが、その中心的技法である「自分を見守る」技法をリラックス体操を行っている間からだに向けるのです。それによってバラバラになっていた人の心身が繋がり、まとまりがでてきます。
野口体操という、ユニークですてきな体操の創始者である野口三千三氏はその著作の中で『からだと対話する』と言う事から、それを越えて『体操とは占いである』」『からだの中身に遍満している神に問い聴く』とまで言っています。
からだの声を聞こうとすると意識は余計なことを考えなくて済むようになりますから次第に心が落ち着いてきます。
からだの言う言葉はすぐには理解できなくとも、根気よく問いかけていると、必ず、すばらしいメッセージと贈り物を届けてくれるようになります。
膝を折り曲げて足の裏をあわせ、両手で足先をつかみできるだけ股間に引き寄せる。大きく息を吸いながら上体を上に反らし、次に息を吐きながら上体を前に倒していく。
体の痛くなるところやきつくなるところに注意を向け続ける。
かなりきつくなった時点で、動きを止めてしばらく、じっと普通の呼吸をしながら体の痛いところや突っ張るところを観察し続ける。
しばらくたったら、出来るだけゆっくりゆっくりと、痛いところや突っ張ったところがどうなっていくか注目し続けながら、体を元に戻していく。
足もゆるめ、痛かったところや突っ張ったところがどうなったか、観察しながら少し休む。
同じ動作を二三回繰り返して、次のポーズに行く。
足、膝を出来るだけピンと伸ばし、つま先も反らせ出来る範囲で股関節も一番広くまで開脚する。
背骨を出来るだけ反らせて胸を張りながら息を吸う。腰も出来るだけ反らせる。
両手の平を体の前の床に着きながら、息を吐き出しながら上体をゆっくりゆっくり、前に倒していく。
我慢できるぎりぎりの所まで前に倒す。
その位置で静止して楽に出来る呼吸をしながら体の痛いところや突っ張るところを観察し続ける。
しばらくしたらゆっくりと状態を戻していく。痛かったところや突っ張ったところが楽になってくるのを注意し続けながら戻る。
戻りきったら、足もゆるめて楽な状態で少し休む。その時も足や股関節など、体を観察する。背中を壁にもたせかけたりして休むのも結構です。
小休息は自分のからだと相談しながら随時取り入れていきます。
自分が好きな姿勢、眠り込まない程度に楽な姿勢で休息します。
休息のポーズの例
リラックス体操はゆっくりやればやるほど瞑想に近くなって来ます。
座った姿勢で、両足をそろえて前に伸ばし、足先、膝裏も出来るだけ反らせる。
息を吸い込みながら胸を反らし上半身を反らせる。息を吐きながら、上体を膝の方に倒していく。下腹をひざに付けるつもりで倒していく。
我慢できるぎりぎりまで倒して静止。楽に出来る呼吸でしばらくそのまま。
息がしづらい場合は止めたままで。この時は首の力を抜いて頭も出来るだけ前に倒す。
他のポーズと同じように、体の痛いところや、突っ張るところに注意を向け続ける。
暫くたったら急がないでゆっくりゆっくり上体を戻していく。痛かったところや突っ張ったところが変化していくのを観察し続ける。
戻りきったら足もゆるめて楽な姿勢で小休止。
片足ずつをじっくり伸ばすポーズです。
左足を膝裏、足裏もできるだけ反らせてしっかり伸ばします。右足を折り曲げて足裏を左太股付け根にくっつけます。
両手で左足指をしっかりつかむか、それが出来ない場合は、両手の平を左足の両側の床に着けます。
後は両足をそろえてやるポーズと同様に行います。
片方を行ったらもう片方にと、交互に行います。
左足を膝裏、足裏もできるだけ反らせてしっかり伸ばします。右足を折り曲げて足裏を左太股付け根にくっつけます。
左足を伸ばした場合は、左手で左足先をしっかりつかみます。又それが出来ない場合は、左足脇の床に左手の平をおきます。
右手をゆっくりと大きく振りかざしながら、左半身側面を左足上に倒していきます。右手は伸ばしたまま顔の右側につけます。出来るだけ体の真横を伸ばすように気をつけます。
左右交互に行います。
後は他のポーズと同じように、ギリギリまで倒してその姿勢を保ちます。意識のもって行き方も同様です。
胸を反らし気味にして上半身を傾けていくと脇腹が良く伸ばされます。
小休息の時、痛みがあった所やツレがあった所が今どんな感じか観察してみます。
四つん這いの姿勢をとります。床につけた両手の幅は肩幅。両足も肩幅くらいにして、腰は直角に曲がった位置とします。
猫が目覚めて歩き始める前に体を伸ばすポーズと同じように、足腰の位置は変えないで、両手を前方にずらして頭、次にアゴ、次に胸が床につくようにと上半身を反らしていきます。
両腕は両耳にくっつけて前方に伸ばします。
自分の我慢できるギリギリまで上半身を反らして、その位置で静止します。固めの人は、額を床につけてその姿勢を保ちます。呼吸は自分の楽に出来る呼吸をします。
暫くたったら腰を引きながら両手を手前にずらして戻り、最後は正座の姿勢で休息します。
正座の姿勢でスネから下を外側に出して割り膝とします。
両手を後方につきながら、上体を後ろに倒していきます。出来るだけスネが床から離れないように。両膝もできればくっつけたままで倒していきます。
体が固くて背中が床につかない人は、体を反らせて頭だけを床につけるか、それもできないくらいに固い場合は、両手で上体を支えて保つか、背中に座布団を重ねたような物を置いて上半身を支えます。
背中が床に着いたら両手を頭の横に伸ばしてそれを維持します。
暫くたったら、折り曲げた足を伸ばし、寝た姿勢で小休息。
ねじりのポーズは様々なバリエーションがありますが、ここでは私自身がとても気持ちよく感じるポーズで、体の固い人も無理なく行うことが出来、又、肩胛骨にも良い刺激のあるポーズを紹介します。
寝転がった姿勢で、体を横にして左側面を上にします。イスに座ったときに膝を組む時と同じように、その寝た姿勢で膝を深く組みます。左側面が上の時は、左足を右足の上になるように組みます。
そしてその左膝を右手でしっかりつかみます。
左腕を伸ばして頭の左斜め上方向に反らしていき、手の甲を床につけます。この時、同時に腰から上を左に、雑巾を絞るようなつもりでねじっていきます。
首もねじることを忘れないように。
ギリギリまでねじったら自分の楽な呼吸でその姿勢を保ちます。
暫くたったら、ゆっくり元に戻って反対側を同じようにやります。
仰向けの姿勢で小休息を入れても良いでしょう。
仰向けに寝て、膝を曲げながら足を持ち上げ、でんぐり返って頭の後方の床方向に下半身を持っていきます。
出来るだけ腰に負担の来ないように工夫してでんぐり返ります。
固くて足が床につかない人は、両手で脇腹を支えたりしてギリギリの所で静止します。
体の柔らかい人は、足先を床につけたり、すねを床につけた姿勢で静止します。
静止したときの呼吸はできるだけ楽に出来る呼吸とします。
元に戻すときは、腰などに負担のないように注意して、足を曲げて、背中から腰、膝裏とゆっくりゆっくり戻していきます。
戻りきった仰向けの姿勢で少し休息してから、もう一、二度行います。
1~9までのポーズは好きな順序で行ってもかまいませんが、締めくくりとして最後にこの屍のポーズを約十分以上行ってください。ウトウトしたり、自律訓練法を行ったり、一眠りしたりしても効果的です。
仰向けの姿勢で体全体を床に任せて、冷え込まないように、軽く体に掛け物をしたりして休息します。時々大きめの呼吸を行ったりして、全身がゆるんで溶けて行くつもりで休みます。
この時に幾つかのポーズで柔らかくほぐし、延ばした身体が再調整されます。もしすぐに活動したりすると、その効果は半減してしまいます。

きれいな景色の中で寝転がってのんびりしているなどのイメージで休息するのも良いでしょう。自分がやすらげるなら何でもかまいません。寝転がっている背中の下には地球の中心があります。私たちは引力で地球とつながっています。支えられているといえるかも知れません。その引力に全身をまかせてみましょう。
また、体に聴くということをこの休息のポーズの時にも行い続けるのも良いでしょう。
じっと心を澄まして、体に注意を向けます。注意がそれてしまうのが普通ですから、それに気がついたとき、また体に意識を向けます。それを根気よく続けます。この方法は瞑想に近いやり方です。
★リラックス体操は、食事をして満腹になっているときや、入浴直後など血流が激しくなっているとき、また重度の病気などの時はさけて下さい。
★それ以外ならいつ行ってもかまいません。排便排尿をすまして、体を締め付けない楽な服装で行いましょう。効果的なのは、夜入眠前と朝目覚めた直後です。
★はじめはその気持ちよさが分からないで、ただ痛いだけとか体がきついだけの場合でも、懲りないで続けているうちに気持ちよさがよく分かってくるようになります。気持ち良さが分かってくると自然にまた体をほぐしたくなってきます。
★堅苦しく考えてしまって、毎日やらないと効果がない。とかポーズを全部やらねばだめだ。これで効果が出るだろうか。などの思いが強くなると体操を楽しめなくなるし、体と仲良くすることが出来なくなります。それなら、二、三のポーズだけ行っただけでも、気持ちよさを感じられればその方がずっと効果的です。
★根気よくリラックス体操を続けていると、今までの心身の状態からより良い状態に変化しようとする働きが活発になるのですが、時に昔悪くした部分に痛みが出たり、何か一見悪くなったような感じになる場合があります。これは東洋医学で言われる「めんけん」とか「好転反応」といわれるものである場合が多いので、その際にはその反応の出ている感じを良く見守りながらそこに無理のない範囲で体操を続けているとそのうちに収まってきます。
★一つのポーズを二、三回繰り返して最後に仰向けに寝転がったポーズで十分くらい休むとして、ワンクール最低三十分くらいです。念入りにもっとゆっくり丁寧に時間をかけて行えばより良いし、それを毎日続ければそれこそ本当にすばらしい贈り物が来るでしょう。
野田式リラックス体操マニュル[PDF文書 Adobe Readerで印刷できます]
