プラス思考の落とし穴

今までのプラス思考に要注意

 ハウツウ的な願望達成の方法にある、ポジティブ・シンキング(プラス思考)や潜在意識活用法、積極思考などには落とし穴(盲点)があることを注意すべきです。

 プラス思考・プラスイメージなどで、良い方向の暗示やイメージを思い浮かべていれば成功できる、などと書いてある本のことです。それらの中には本当の意味でのプラス思考にはならないような考え方が、著者自身も気づかない所に含まれている場合があるのです。その本に書かれあることを素直に信じて、プラス思考になろうと努力したために、かえって挫折し、ますますマイナス思考を強めてしまっているという犠牲者も大勢います(実は私もその一人でした)。

 もちろん暗示などの魔術的効果を信じることで、理想に向かって努力する意欲が強くなり、達成感を味わうことで「やれば出来る」とか自信がつくことはあります。しかしこのようなやり方が通用するのは少数の人のみです。他のほとんどの人は「本を読んで、やってみたがうまくいかなかった」とか「なかなか腹からそう思えなくて…」などと挫折しています。


言葉を分析してみると

 「プラス思考になりましょう」という言い回しの中にすでに、今のあなたを否定するマイナス思考が入り込んでいるのに気づかねばなりません。今現在の自分を否定するようでは、本物のプラス思考とはならないのです。

 そこに気づかないまま「自分はマイナス思考だから、プラス思考にならなければ」と頑張ってみても、うまくいきません。結局それは、以前からの…理想のようになろうと思いながらも、そうなれない現実の自分に、がっかりして、やっぱり自分はダメだ(マイナス思考)となる。…そんな悪循環の上塗りに過ぎなくなってしまいます。

 すでに自分の中にある「マイナス思考」な部分をプラスに受け止めるものでなくては本物のプラス思考とはいえないのです。それは文章にすれば一目瞭然です『マイナス思考はダメだ』という文中のダメ、はマイナス思考ですよね。いまだに世の中のプラス思考関連のものの中にはこの点が抜け落ちているものが多いのです!


本物のプラス思考とは

 精神科医である神田橋條治氏は心理治療者のセンス向上方法の一つとして「能力」という言葉をつけてみる遊びを著作の中で紹介しています。この名アイディアには「怒る能力」「疑う能力」などと言えるように、一見否定的な事柄自体を救う力があります。この言葉の使い方は、本当の意味でのプラス思考のお手本となります。

 また、柔道整復師でありアスレチックトレーナーの楠山卓さんは、自身のサイトの中の「ポジティブやプラス思考は失敗します」というページで、この辺りの問題を自身の体験と絡めて、とても的確に述べられています。そして最後の方に、まずは「自分を知ることから始めてください」と締めくくっています。

 自分を知ることは心底からの自己肯定感をもたらすのでとても有益です。でも私は、自分一人で自分を知ることは簡単なようで意外に難しいと思っています。それは自己否定が強い場合は自分を正当に知るという(肯定的)態度がなかなか持ちにくいからです。やはりカウンセリングにおけるカウンセラーなどのような、本当の意味での自己肯定感を高めてくれる人に付き合ってもらって、自分を掘り下げていくのがベストでしょう。

 でも、本物のプラス思考になるのは意外と簡単で、スイッチをちょっと切り替える感覚で始められます。まず最初に、今のありのままのあなたが、ほっと安心できるような、何かを見つけましょう。それを捜し始めただけで、もうすでに本物のプラス思考が始まっているのです。

 また例えば、神田橋條治先生の言うように「マイナス思考する能力」と名付けたりしてみたりして、そこを心暖かく見守ることからはじめてはいかがでしょう。さらに、マイナス思考してしまう自分を否定してしまう部分さえも『あぁ自分を厳しく見てるんだね・・』などと少し距離を取って見守り解ってあげることも、とてもうまいやり方です。このようなやり方は、当相談室でも用いている「フォーカシング」という心理技法を学ぶことでより上手にできるようになります。

 参考ページ:『寄り添い 見守る フォーカシング

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