寄り添い 見守る フォーカシング

自分で自分に寄り添う

 フォーカシングはとても素敵な心理技法だと思います。慣れてくれば一人でもできます。その技法を一言でいえば「自分で自分を上手に支えたり解放したりができるようになる心理技法」といえるでしょう。私は心理相談室でこの技法をそのまま用いたり、または催眠療法の中で併用応用しています。

 そして来談された多くのクライエントがこの心理技法によって今まで否定、抑圧していたり、または気づかないままに放置されていたような部分の自分に出会うことを見させてもらい続けています。その時の記憶は、静かな感動とともに私の心に刻まれています。精神科医であった中井久夫氏はその著書のどこかで「人は自分と折り合う程度に、他人と折り合うことができる」と書かれています。

 それと同じことをフォーカシングと絡めて思うのです。フォーカシングで自分で自分を見守り、良い部分も悪い部分も、良くわからない部分も、どんな部分でも認めていく作業を行っていると、いつの間にか、ありのままの自分を愛するようになっているのです。

 そしてそれは他人をも同じように見守り愛することになっていくのです。 自分自身を条件付きで、ここは良いところだから大切にする、というのではありません。自分の中の否定したくなる部分や、また、気にはなるけどよく分からないところも、優しく見守る(観察する)というトレーニングが、人としての心の器をも大きしていくのです。

 フォーカシングのやり方の第一段階を簡単に説明してみます。例えば気がかりなこと、問題があった場合、よく考えて答えを出そうとしないのです。その中に入り込んで考えるのではなくて、いったん外に出て、その気がかりなこと全体を見守るようにするのです。

 例えば職場で昼間あった嫌なことを、帰宅しても考えてしまって悶々としているとします。そのような時に先にいったようにその嫌なことの全体を見るようにしてみるのです。すると、その嫌な感じから少し距離が取れます。また、そのようにちょっと離れてあらためて見直してみるだけで変化が始まるのです。フォーカシングに「それ(モヤモヤした嫌な感じ)に、こんにちはと挨拶しましょう」というテクニックもあります。おもしろいことに、それによって自分の内面と適切な距離を取れるようになり、それで楽にもなるのです。

 もちろん時にはあまりにも嫌なことが強すぎて見守ることができない場合があります。そんな時には自分を悩ます受け止めかねる嫌な部分と適切な間の取り方をフォーカシングで学べます。例えば、嫌な記憶や苦しんでいる部分を心の中にしまってスッキリ落ち着く心の収納法という手もあります。

 一人でやると慣れないうちはなかなか集中が持続しませんが、だれかそれに付き合ってくれる人がいるとフォーカスし続けることができるので不思議にうまくいきます。

 フォーカシング療法ではカウンセラーとクライアントが協力して、クライアントの傷ついて苦しんでいる部分に、そっと寄り添い見守り、待ちます。それによって、受け止めかねる問題に悩み苦しみながらも、心が成長することができるようになります。次第に心の器が大きくなって、問題を乗り越えていく力が強まるのです。

 フォーカシングでは過去の辛い思い出や、イライラ。なんだか胸の辺りが苦しいなどの体感的なものと適切な距離をとることができます。そしてそれが気にならなくなるような切り替えのテクニックもあれば、段階を追うことでそれをスッキリ解消できるテクニックもあります。また内面のどんな部分にも目を向けることによって、自分が知らぬ間に身につけて一体化していた価値観に気づくことができます。知らぬ間に自分を縛り付けていたものに気づけるので、解放されて楽になれます。

 フォーカシングについては当相談室のもう一つのホムペの方により詳しい説明があります。『フォーカシング|カウンセリング催眠療法フォーカシングの横浜心身健康センター

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